2014 Fiscal Year Annual Research Report
口腔扁平上皮癌細胞におけるインテグリンβ6の蛋白翻訳後修飾とその機能解析
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26893167
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
藤井 隆彦 広島大学, 大学病院, 歯科診療医 (50735264)
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Project Period (FY) |
2014-08-29 – 2016-03-31
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Keywords | 医歯薬学 / 口腔外科学 / 口腔扁平上皮癌 / 浸潤・転移 / インテグリン |
Outline of Annual Research Achievements |
扁平上皮癌細胞にテトラサイクリン発現誘導システムを用いてインテグリンβ6遺伝子を導入し一過性発現系を構築,蛋白翻訳後修飾を解析した.作製した細胞をテトラサイクリン存在下で培養すると2時間後よりインテグリンβ6のmRNA発現がみられ,12時間後にその発現が最大になった.また,インテグリンβ6蛋白発現は,テトラサイクリン処理12時間後よりみられ,経時的に発現が亢進した.次にテトラサイクリン処理することにより一過性に発現誘導されたインテグリンβ6のmRNAは,テトラサイクリン非存在下で培養すると,6時間から12時間の間にほぼ消失した.また,テトラサイクリン処理により,発現誘導されたインテグリンβ6蛋白は,テトラサイクリン非存在下で培養すると,12時間から24時間後には著しく発現が低下した.一過性に発現誘導されたインテグリンβ6蛋白は,時間依存性に発現が低下したことから,翻訳後の細胞内で分解等の修飾を受けていると考えられた.そこで,インテグリンβ6の蛋白翻訳後の細胞内での分解機序の解明のため,テトラサイクリンによりインテグリンβ6蛋白発現を誘導した細胞を,リソソーム阻害剤,カルパイン阻害剤,あるいはプロテアソーム阻害剤存在下で培養し,インテグリンβ6蛋白の発現をWestern Blot法で解析した.結果,プロテアソーム阻害剤添加によりインテグリンβ6蛋白発現は維持されていたことから,蛋白翻訳後にユビキチン/プロテアソーム系で分解されていることが明らかとなった. この細胞は唯一のカウンターパートであるインテグリンαvをほとんど発現していないことから,発現しているインテグリンβ6蛋白の大部分は単量体であり,単量体のインテグリンβ6がプロテアソームによって分解されたと推測された.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
テトラサイクリン発現誘導システムを用いたインテグリンβ6 の一過性発現系の構築の初期作業の際、β6遺伝子の扁平上皮癌細胞への導入に予測しなかったばらつき(抽出したβ6遺伝子を遺伝子導入する際、細胞ごとの導入効率が違うため、実験に適した細胞の選別が難航)を生じたため、予定よりも多くの時間を要した。
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Strategy for Future Research Activity |
インテグリンのα鎖とβ鎖はリボソームで合成された後,二量体を形成し,細胞膜上に発現すると考えられており,インテグリンβ6も細胞膜上でインテグリンαvとのヘテロ二量体として存在することで機能発現していると推測される.そこで,唯一のカウンターパートであるインテグリンαvが何らかの影響を与えている可能性が考えられたため,インテグリンαvを常時発現させた細胞に,テトラサイクリン誘導システムによりインテグリンβ6を発現誘導すると,どのように影響するのかを検討することとした. また,口腔扁平上皮癌においてインテグリンαvβ6発現が報告され,浸潤・増殖における関与が指摘されているが,詳細については不明な点が多い.そこでインテグリンαvを常時発現させた細胞にインテグリンβ6蛋白発現を誘導し,その細胞増殖,蛋白分解活性,造腫瘍能に与える影響を検討することとした.
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