2014 Fiscal Year Annual Research Report
DDS製剤の体腔内投与を介した新規がん治療法の開発
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26893174
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
安藤 英紀 徳島大学, ヘルスバイオサイエンス研究部, 特任助教 (00735524)
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Project Period (FY) |
2014-08-29 – 2016-03-31
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Keywords | ドラッグデリバリーシステム / DDS / 胸腔内投与 / 腹腔内投与 / 悪性胸膜中皮腫 / 腹膜播種転移 / 核酸 |
Outline of Annual Research Achievements |
体腔に浸潤した悪性腫瘍に対して薬剤の体腔内直接投与は非常に有効な治療法となり得るが、これを支持する根拠は乏しい。本研究課題は、ドラッグデリバリーシステム(DDS)を応用し、腫瘍環境下の体腔に投与されたナノキャリアおよび核酸/ナノキャリア複合体の体内動態を解析することで、当該疾患治療のための体腔内投与の有用性を支持する学術的根拠を示すことである。 Luciferaseを恒常発現させたヒト胸膜中皮腫細胞(MSTO-211H-Luc)およびヒト胃がん細胞(NCI-N87-Luc)をそれぞれヌードマウスの胸腔内および腹腔内に移植することで、胸膜中皮腫モデルマウスおよび胃がん腹膜播種モデルマウスを作成した。移植した腫瘍の成長は、IVISを用いて非侵襲的に観察した。次に、作成したモデルマウスを用い、近赤外蛍光プローブのDiRで標識したナノキャリアの体腔内投与後の動態をIVISで観察した。胸膜中皮腫モデルマウスにカチオニックリポソーム(CL)あるいは核酸搭載CL(リポプレックス;Lpx)を胸腔内投与したところ、CLが投与24時間以内で全身循環へ移行したのに対し、Lpxは投与120時間まで顕著な移行は見られなかった。また、正常マウスでの動態と比較して、明らかな胸腔内滞留性の向上が認められた。同様に、胃がん腹膜播種モデルマウスにCLあるいはLpxを腹腔内投与したところ、どちらも正常マウスと比較した腹腔内滞留性の向上・血流への移行性低下が見られ、腹膜腫瘍への高い集積が認められた。さらに、凝集性Lpxにおいてこの傾向はさらに顕著となった。これらのことから、腫瘍が存在するという特殊な環境においてのみ体腔内投与したナノキャリアの体腔内滞留性が向上し、さらにそれは核酸/ナノキャリア複合体においてより顕著になることを明らかとした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初予定していた、胸膜中皮腫および胃がん腹膜播種の同所移植モデルマウスの確立に成功し、それを用いてナノキャリアおよび核酸/ナノキャリア複合体の体腔内投与後の動態を評価することに成功したため。
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Strategy for Future Research Activity |
確立した同所移植モデルマウスを用い、核酸/ナノキャリア複合体の体腔内投与後の動態を継続して解析すると共に、核酸/ナノキャリア複合体の体腔内投与によるがん治療評価を行うことで、本研究課題の推進に努める。
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Research Products
(1 results)