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2014 Fiscal Year Annual Research Report

トリプルネガティブ乳癌の発症・進展におけるBIG3の役割

Research Project

Project/Area Number 26893175
Research InstitutionThe University of Tokushima

Principal Investigator

木村 竜一朗  徳島大学, 疾患プロテオゲノム研究センター, 特任助教 (20587323)

Project Period (FY) 2014-08-29 – 2016-03-31
Keywords乳癌 / ゲノム / シグナル伝達 / プロテオーム / 発現制御
Outline of Annual Research Achievements

エストロゲンレセプター(ER)陰性乳癌、特にトリプルネガティブ乳癌(TNBC)は生物学的悪性度が高く予後不良であり、効果的な治療法のないことが大きな問題となっている。癌特異的分子BIG3はER陽性乳癌においてER標的遺伝子として発現亢進しており、その機能はER活性化抑制因子PHB2の抑制機能を阻害することでER陽性乳癌の細胞増殖を促進することが明らかとなっている。一方で、ER陰性乳癌、特にTNBCにおけるBIG3の作用機序とER非依存的BIG3遺伝子亢進メカニズムは不明である。そこで、本研究ではTNBCの発症・進展におけるBIG3の役割を解明することを目的とした。
初めに、ER陰性乳癌細胞株を用いてBIG3の発現抑制実験を行ったところ、ER陰性乳癌、特にTNBC細胞株では顕著に細胞増殖が阻害されることが分かった。次に、ER陰性乳癌細胞株内におけるBIG3-PHB2複合体形成の可能性について検討した結果、BIG3はER陽性乳癌ではPHB2と相互作用するのに対し、ER陰性乳癌では相互作用が確認できないことが分かった。そこで、ER陰性乳癌における新規BIG3相互作用因子の探索を試みた。TNBC細胞株においてBIG3分子を含む複合体を免疫沈降し、共沈した相互作用因子をショットガンプロテオミクス(2DICAL法)により探索したところ、多数のタンパク質が同定された。また、TNBC細胞株においてBIG3の発現抑制を行った場合の全タンパク質発現変化を2DICAL法で網羅的に解析したところ、多数の乳癌発症・進展に関わるタンパク質群の発現に変動が見られた。
一方で、TNBCにおけるBIG3遺伝子亢進機構を解明するため、BIG3遺伝子のプロモーター解析を行った。その結果、転写開始点近傍のAP-1結合領域が発現に重要であることが分かり、これらのAP-1分子の発現抑制によりBIG3の発現が阻害されることを明らかにした。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

本研究では初めに、BIG3が、TNBCにおいてもER陽性乳癌と同様に細胞増殖に重要な働きをすることを証明した。一方で当初、BIG3はER陰性乳癌においてもER陽性乳癌と同様、細胞内でPHB2と相互作用し、PHB2の有する癌抑制機構を阻害することで機能すると予想した。しかしながら、ER陰性乳癌においてはBIG3-PHB2の複合体形成は確認されず、その対応策としてTNBCにおける新規BIG3相互作用因子の同定を試みた。この結果、多数の有望な癌関連因子とBIG3との結合が示唆された。また、TNBCにおけるBIG3の発現抑制を行った場合の網羅的タンパク質発現解析から、多くの癌促進因子の発現変動が見られた。これらの結果は、TNBC発症・進展におけるBIG3の役割を明らかにするための重要な萌芽研究と言える。以上のことから、現在までの研究は概ね順調に進展していると考えられる。

Strategy for Future Research Activity

本研究実施1年目では、TNBCにおける新規BIG3相互作用因子を多数同定した。これらの因子のほとんどは細胞質、あるいは細胞質と細胞核両方に局在するタンパク質であり、BIG3の細胞内局在と一致した。また、これらの因子のいくつかは細胞骨格を構成する微小管に関連する分子であり、BIG3がこれらの因子と複合体を形成することにより、乳癌において微小管構造の維持、および細胞分裂や細胞遊走を制御する可能性も考えられる。今後は、これらの因子とBIG3の結合をそれぞれの抗体を用いた免疫沈降で解析し、その後、BIG3が微小管構造の維持にどのように関係するかを明らかにしていく予定である。最終的には、このBIG3と相互作用因子の複合体形成を特異的に阻害することにより、全く新しいTNBC治療モデルを提示することを目標としている。
一方で、網羅的タンパク質発現解析から、TNBCにおいてBIG3の発現を抑制すると、多数の癌促進因子のタンパク質発現が変動することが分かった。今後、BIG3がどのようにこれらの因子の発現を制御するか、遺伝子転写レベル、タンパク質細胞内輸送、安定化機構などの観点から多角的に明らかにしていくこととしたい。また、BIG3がこれらの癌関連因子の発現を制御することにより、最終的にどのようにTNBC発症・進展に役割を果たすか詳細な分子機構の解明と解明した機構に根ざした治療モデルの創出を目指している。

  • Research Products

    (3 results)

All 2014 Other

All Journal Article (1 results) (of which Peer Reviewed: 1 results) Presentation (1 results) Remarks (1 results)

  • [Journal Article] Abundant expression of HMGB1 in human T-cell lymphotropic virus type I-infected T-cell lines and high plasma levels of HMGB1 in patients with adult T-cell leukemia2014

    • Author(s)
      Ryuichiro Kimura, Naoki Mori
    • Journal Title

      Oncology letters

      Volume: 7 Pages: 1239-1242

    • DOI

      10.3892/ol.2014.1851

    • Peer Reviewed
  • [Presentation] トリプルネガティブ乳癌の発症・進展におけるBIG3の役割2014

    • Author(s)
      木村竜一朗、吉丸哲郎、小松正人、三好康雄、笹三徳、片桐豊雅
    • Organizer
      平成26年度がん若手研究者ワークショップ
    • Place of Presentation
      蓼科グランドホテル滝の湯(長野県茅野市)
    • Year and Date
      2014-09-03 – 2014-09-06
  • [Remarks] 徳島大学・教育研究者総覧(木村竜一朗)

    • URL

      http://pub2.db.tokushima-u.ac.jp/ERD/person/277280/profile-ja.html

URL: 

Published: 2016-06-01  

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