2014 Fiscal Year Annual Research Report
脊髄アストロサイトSTAT3を介した慢性掻痒メカニズムの解明
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26893182
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
白鳥 美穂(林美穂) 九州大学, 薬学研究科(研究院), 研究員 (20735641)
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Project Period (FY) |
2014-08-29 – 2016-03-31
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Keywords | 痒み / アストロサイト |
Outline of Annual Research Achievements |
RT-PCR法により、慢性掻痒モデルマウス(アトピー性皮膚炎モデルマウス及び接触性皮膚炎モデルマウス)のDRGにおいて、IL-6ファミリーサイトカインの一種であるIL-6が発現上昇していることがわかった。また、TRPV1陽性C線維脱落マウスで慢性掻痒モデルを作成後、DRGにおけるIL-6の発現を調べたところ、発現が有意に低下していた。また、初代培養DRGニューロンにおいて、IL-31を処置するとIL-6のmRNAが有意に増加した。 慢性掻痒モデルマウス(アトピー性皮膚炎モデルマウス)の脊髄サンプルを用いてDNAマイクロアレイによる網羅的遺伝子解析を行ったところ、複数の分子の発現増加が確認された。その中で最も発現増加が著しかった分子の発現を詳細に解析したところ、mRNAレベル、タンパクレベル共に慢性掻痒モデルマウスの脊髄で共通して発現増加し、アストロサイト特異的STAT3不活性化マウスにおいて、発現増加が抑制されることがわかった。その分子を髄腔内に投与したところ、単独投与では痒み行動は大きく増加せず、GRP誘発痒み行動のみが有意に増加した。慢性掻痒モデルマウス(接触性皮膚炎モデルマウス)の脊髄においてその分子のsiRNAを用いてノックダウンを行うと、慢性的な痒み行動が有意に抑制された。さらに、アデノ随伴ウイルスベクターを用いてshRNAを脊髄後角アストロサイト特異的に取り込ませたところ、siRNA処置と同様に、アトピー性皮膚炎モデルマウスの慢性的な痒み行動が抑制された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
shRNAを含んだアデノ随伴ウイルスベクターの作成に時間がかかっている。また、IL-31以外にも慢性掻痒モデルマウスの皮膚で発現増加し、IL-6の発現増加に関与している分子が存在することがわかり、その分子の受容体を含めて複数のshRNAを含んだアデノ随伴ウイルスベクターを作成しているため。
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Strategy for Future Research Activity |
IL-31受容体やその他慢性掻痒モデルマウスの皮膚で発現上昇し、IL-6産生に関与するサイトカインの受容体に対するshRNAを含んだアデノ随伴ウイルスベクターの作成を行い、慢性掻痒モデルマウスのDRGに取り込ませる。
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