2014 Fiscal Year Annual Research Report
オリゴデンドロサイトのコネキシン蛋白に注目したALSの病態解明と新規治療薬の開発
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26893184
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
小早川 優子 九州大学, 大学病院, その他 (40733788)
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Project Period (FY) |
2014-08-29 – 2016-03-31
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Keywords | 筋萎縮性側索硬化症 / オリゴデンドロサイト / コネキシン |
Outline of Annual Research Achievements |
Connexin(Cx)32およびCx47はオリゴデンドロサイトに発現し、アストロサイトに発現するCx30およびCx43とともにグリア細胞間でgap junctionを形成する。このgap junctionを通じてグリア細胞間の分子やイオンの交換が活発に行われており、Cxsは中枢神経系の恒常性維持に重要である。当研究室はこれまでに筋萎縮性側索硬化症(ALS, Amyptrophic lateral sclerosis)モデルマウスの脊髄灰白質において、Cx32およびCx47の広汎な発現異常を認めることを明らかにしている。しかしこれらの異常がALSの病態進行にどのように寄与するかはまだ明らかでない。本研究では、オリゴデンドロサイトCx蛋白の発現異常が、ALSの病態にどのように関与しているのか、またALS治療のターゲットとなりうるかどうかを検討することを目的としている。 ヒトALSやALSモデルマウスである変異SOD1 Tgマウスでは、オリゴデンドロサイト前駆細胞(OPC, Oligodendrocyte precursor cell)から成熟オリゴデンドロサイトへの分化が障害されていることが知られており、オリゴデンドロサイトのCx蛋白発現異常の原因と考えられる。まず平成26年度は培養細胞を用いた実験を中心に行った。変異SOD1トランスジェニック(Tg)マウスの新生仔マウス脳からOPCを単離し、野生型マウスから単離したOPCと、増殖や分化、Cx32/Cx47蛋白の発現を比較した。通常の培養条件下では、野生型マウスからのOPCと変異SOD1 TgマウスからのOPC間で、増殖や分化、Cx32/Cx47蛋白の発現に明らかな差は認めなかった。変異SOD1 TgマウスにおけるOCPの分化異常やCx32/Cx47の発現異常は、ALSの病態進行の過程で神経幹細胞へ何らかのストレスが加わることで生じる現象であると考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
マウスの交配に時間を要するため、初年度は培養細胞を用いた実験を中心に行った。現在は変異SOD1 Tgマウス、変異TDP-43 Tgマウスを用い、オリゴデンドロサイトのCx蛋白発現異常をきたす機序を解析中である。
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Strategy for Future Research Activity |
ALSモデルマウスおよび薬剤誘導型オリゴデンドロサイト特異的Cx32/Cx47コンディショナルノックアウトマウスを用い、Cx32/Cx47の発現異常がALSの病態に及ぼす影響を解析予定である。またALSモデルマウスと培養細胞を用い、OPCの分化異常やCX32/Cx47の発現異常をきたす機序を解析予定である。
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Research Products
(1 results)