2014 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
26893186
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
森 康雄 九州大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (90573345)
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Project Period (FY) |
2014-08-29 – 2016-03-31
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Keywords | 好中球 / 前駆細胞 / 分化 / 系統決定 |
Outline of Annual Research Achievements |
白血球中の大多数を占め病原微生物の排除に重要な役割を担っている好中球に関し、本研究開始時点でその分化に関わるサイトカインや転写因子についてマウスを主として知見が集積しつつある一方で、好中球特異的前駆細胞(NeuP)は同定されていなかった。そこで1) マウス及びヒト造血前駆細胞分画中にNeuPをプロスペクティブに純化する技術の確立、2) 好中球への分化経路・系統決定メカニズムの解明、以上の2点を目的とし研究を開始した。 M-CSFRとVCAM-1の発現パターンによりマウス顆粒球・単球系前駆細胞 (granulocyte/macrophage progenitor;GMP)は3つの亜分画に分離することが可能であった。液体培養・コロニーアッセイを用いたvitroでの解析で、M-CSFR陰性VCAM-1陰性GMPおよびM-CSFR陽性VCAM-1陰性GMPが顆粒球系細胞にも単球系細胞にも分化できるのに対し、M-CSFR陰性VCAM-1陽性GMPは好中球に限定的な分化能を示した。またActin-GFPマウスより純化したGMP亜分画を野生型マウスに移植する実験系においても、M-CSFR陰性VCAM-1陽性GMPの好中球限定的な分化能が確認された。これらの結果よりマウスのNeuPをGMP中のM-CSFR陰性VCAM-1陽性分画と定義することが初めて可能となった。我々が新規に同定し得たマウスNeuPという純化前駆細胞集団を解析することで得られる、好中球の分化・系統決定機構に関する情報は非常に信頼度が高いものであると考える。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度の最大の目標であったマウス好中球前駆細胞の純化に成功した。
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Strategy for Future Research Activity |
まずは純化したマウス好中球前駆細胞(NeuP)を含む骨髄球系前駆細胞群を用いた網羅的遺伝子解析を行い、系統決定に際し重要な役割を担っていると思われる転写因子を同定する。NeuPで高発現している他の細胞表面抗原のピックアップも同時に行う。 その後はVCAM-1その他の候補分子の発現を鍵として、ヒト造血系におけるNeuPの検索に進んで行く予定としている。
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