2014 Fiscal Year Annual Research Report
離島地域の認知症患者が、医療機関受診に至るまでの期間に与える要因の検討
Project/Area Number |
26893197
|
Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
永吉 真子 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(医学系), 助教 (30728960)
|
Project Period (FY) |
2014-08-29 – 2016-03-31
|
Keywords | 認知症 / 高齢者 / 離島地域 / ソーシャルサポート / ソーシャルネットワーク / 家族構成 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、離島の基幹病院を受診した高齢者を対象に、初診時の認知機能の評価と、家族形態、ソーシャルネットワーク・ソーシャルサポート等、心理社会的背景を調査することにより、高齢化が著しく、医療資源が限られた離島地域での認知症患者の分布と、受療行動および受診に至るまでの期間に与える要因を複合的に明らかにすることを目的としている。離島地域に住む高齢者の物理的・身体的要因に加え、心理社会的背景がどのように、認知症およびその早期発見・早期治療に影響を与えているかを明らかにすることで、医療資源が限られた離島地域での認知症対策に貢献できると考えられる。 初年度である平成26年度は、長崎県の離島地域である五島市の基幹病院(長崎県五島中央病院)でのデータ収集体制の確立と、調査を行った。具体的には、長崎県五島中央病院および長崎大学医歯薬学総合研究科の倫理審査委員会より、本研究実施についての承認を得た後、長崎県五島中央病院精神科を受診した認知症疑い患者のうち、文章による同意が得られた者を対象に認知機能検査の実施と、データ収集を行った。認知機能検査は、改訂 長谷川式簡易知能評価スケール(HDS-R)(加藤伸司他. 老年精神医学雑誌 1991)を実施し、初診時の認知機能を評価した。また、心理的要因(うつ症状など)、社会経済的要因(家族構成、家族以外のソーシャルネットワーク・ソーシャルサポート、地理的状況など)については、アンケートおよび聞き取り調査により聴取し、患者基本データ(年齢、性別、居住地、BMIなど)、画像データ(CTもしくはMRI)の結果はカルテより転記し、データベースを作成した。 今後、データ収集の継続と、収集情報の分析を進めることで、離島地域での認知症対策のための重要な基礎資料を提供しうる。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
長崎大学医歯薬学総合研究科の倫理審査委員会の審査等の理由で研究の開始が遅れたため、調査実施人数が予定よりも少ない。しかし、それ以外の点については順調であり、データの収集体制を確立できている。
|
Strategy for Future Research Activity |
当初の計画では、認知症危険因子として、血糖値、中性脂肪値、コレステロール値等血液データの収集を検討していたが、精神科受診患者のほとんどが直近の採血データを有しないため、今後、糖尿病、高脂血症等、既往歴のみを情報収集項目とする。 また、初診時の認知機能評価は、改訂 長谷川式簡易知能評価スケール(HDS-R)とともに、Mini Mental State Examination (MMSE)の実施も予定していたが、両者の項目はほぼ一致すること、診察時間が限られていることなどの理由から、改訂 長谷川式簡易知能評価スケール(HDS-R)のみ実施することとした。 その他の点については、当初の計画に準じて継続実施する。
|