2014 Fiscal Year Annual Research Report
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26893200
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
伊藤 尚文 熊本大学, 大学院生命科学研究部(医), 研究員 (60732716)
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Project Period (FY) |
2014-08-29 – 2016-03-31
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Keywords | 細胞多能性 / 発生 / リプログラミング / 微生物 / リボソーム |
Outline of Annual Research Achievements |
申請者のグループでは、腸内細菌とヒト細胞の未知の相互作用を発生学的観点から探るため、様々な条件で乳酸菌とヒト皮膚腺維芽細胞(HDF)と共培養したところ、三胚葉由来の細胞に分化できる多能性細胞塊を形成することを報告した(Ohta et al., PLOS ONE 2012)。その後、ハンセン病を引き起こすライ菌が感染拡大の際に、細胞多能性を乗っ取ることで、感染拡大を成している報告もされた。そのため、微生物には共通してヒト多能性を制御する因子が存在することが示唆され.本申請では、細菌から現在までに報告例のないヒト細胞の脱分化を誘導する因子の同定を行った。 乳酸菌とヒト皮膚細胞を共培養することで多能性をもった細胞塊が形成される。多能性を検定する実験は非常に時間がかかるが、細胞塊の形成は一晩で観察可能である。ES細胞のように細胞塊が初期分化にとって重要な指標になっていることから、細胞塊形成を指標に乳酸菌成分を様々な手法で分画し、細胞塊形成活性を確認した。その結果、ある特定のフラクションが細胞塊形成活性が強いことが判明した。このフラクションを質量分析装置で解析した結果、数十種類のタンパク質が同定された。乳酸菌破砕液の細胞塊形成活性を確認する際に、細胞塊形成活性は100kDa以上の分画に多く含まれていることがわかっていたので、同定したタンパク質のリストと総合的に判断して、目的の分子はリボソームであると推定した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本申請では細胞多能性を誘導する分子を微生物から分離・同定することを目的に解析を進めた。その結果、多能性を誘導する因子はリボソームであることが同定できた。 年度の後半から購入したヒト皮膚線維芽細胞に不具合が発生したため、次年度の解析に利用するリボソームの精製に注力した。リボソーム誘導型多能性細胞がどのような状態の細胞であるかの詳細がいまだ不明であるが、解析に使うリボソームの精製法は確率できたので、それを用いて研究を進める。
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Strategy for Future Research Activity |
培養細胞はメーカーから購入したとしてもある程度の不具合が発生することはありえるので、今度の解析でも時間に余裕をもって準備を行い、条件が整ったときに計画的に解析を行う。 多能性と細胞塊形成はイコールではない。もっとも簡単に分化能を検定する方法は脂肪、骨、軟骨細胞への分化で、分化細胞の生化学的な染色と形態観察で確認できる。他にも抗体による免疫染色などと組み合わせると簡便ながらも詳細な解析結果が得られる。しかし、それだけでは不十分で、神経系に分化させた細胞の電気生理学的な解析や、筋肉に誘導した際の拍動の観察も必要であり、マウス細胞を用いることによって生体内での細胞分化能と機能性の確認が行うことができる。次年度以降は、より詳細な解析に移行し、リボソームによる細胞多能性誘導を証明する計画である。
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Research Products
(3 results)