2014 Fiscal Year Annual Research Report
腫瘍特異的CTLとヘルパーT細胞を活性化するがんペプチドワクチンの開発
Project/Area Number |
26893206
|
Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
湯野 晃 熊本大学, 医学部附属病院, 医員 (40738473)
|
Project Period (FY) |
2014-08-29 – 2016-03-31
|
Keywords | がんワクチン研究 |
Outline of Annual Research Achievements |
CTLエピトープペプチドが、がん免疫療法の臨床研究で腫瘍縮小効果が確認されている腫瘍抗原であるCDCA1、KIF20A、LY6K、IMP-3由来のTh1細胞エピトープを同定した。 エピトープの推定にはアルゴリズムを利用した。その際、適応患者を考慮し発現頻度の高いHLA-II分子を標的とし、またCTLエピトープ配列を自然配列として内包させることで、CTLとTh1細胞の両者を誘導し得る可能性を持つロングペプチド(LP)を合成した。抗原特異的リンパ球の解析には、IFN-γ ELISPOT解析およびテトラマー解析を用いた。これらのLPを用いて、in vitroにて健常人由来の末梢血単核細胞(PBMC)を刺激して抗原特異的Th1細胞の誘導を試みた。結果、同定したLP特異的Th1細胞の誘導を確認できた。また、CTLエピトープペプチドの接種を受けた頭頸部癌患者からPBMCを分離し、LPを加え培養することで、抗原特異的なTh1細胞の検出を試みた。一部の患者において、末梢血中に抗原特異的Th1細胞を検出できた。 次に、CTLエピトープ配列を自然配列として含むLPを用いて、in vitroにて抗原特異的CTLの誘導を試みた。結果、内包されたCTLエピトープ特異的CTLの誘導を確認できた。同様の検討をin vivoにおいて、HLAクラスIトランスジェニックマウスを用いて行った。すなわち、LPを用いて免疫することによるCTL誘導能を検討した。一部のLPでは優れたCTL誘導能を確認できた。 さらに、同定したLPのin vitroにおける抗原特異的CTLの誘導に対する相乗効果を検討した。一部のLPでは、抗原特異的CTLの誘導において相乗効果を認めた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
抗原によって差はあるが、おおむね同様の達成度を認めている。
|
Strategy for Future Research Activity |
シカゴ大学の中村祐輔教授が全国のがん診療医との共同研究により、HLA-A2 あるいはA24分子により提示される、9から10個のアミノ酸から構成されるCTL 誘導活性を有するがん抗原ペプチドを用いた、がん免疫療法の第I相および第II相臨床研究を実施されている。この臨床研究では、がん抗原ペプチドを不完全フロイントアジュバントと共に多くは標準治療の適応外の進行がん患者に免疫し、その安全性とがん患者のin vivoにおけるがん抗原ペプチドに対する免疫応答が検討され、がん病変に対する効果が検討されている。また標準治療との併用効果についても検証されつつある。 熊本大学医学部附属病院歯科口腔外科において、口腔癌のがん抗原ペプチド免疫療法の臨床研究を既に実施中である。これらの臨床研究においてワクチンを接種された患者から末梢血単核細胞を分離し、in vitroにおいて同定したTh1細胞エピトープペプチドが、CTLエピトープペプチドワクチンによって誘導された抗原特異的CTLの誘導を増強するか否か検討を行う。さらに、CTLエピトープペプチドワクチン接種前・後の担癌患者から末梢血単核細胞を採取し、in vitroにおいて同定したTh1細胞エピトープペプチドで短期間刺激を行いIFN-γ ELISPOT解析を用いて抗原特異的Th1細胞を検出することにより、ワクチン接種前・後における同定したロングペプチドに特異的なTh1細胞の存在の有無を解析し、モニタリングを行う。さらにこの腫瘍抗原特異的Th1細胞の存在が、CTLエピトープワクチン接種患者における生命予後とどのように関連するか解析を行う。 さらに、腫瘍抗原特異的CTLとTh1細胞の両者を活性化する、がん抗原ペプチドを複数同定できた際には、それらを混合したカクテルワクチンを利用した、新たながん免疫療法の臨床研究の実現に向けて準備する。
|
Research Products
(4 results)
-
[Journal Article] Phase II clinical trial of multiple peptide vaccination for advanced head and neck cancer patients revealed induction of immune responses and improved OS.2015
Author(s)
Yoshitake , Y., Fukuma, D., Yuno, A. , Hirayama, M. , Nakayama, H. , Tanaka. T., Nagata, M. , Takamune, Y., Kawahara, K., Nakagawa, Y., Yoshida, R., Hirosue, A., Ogi, H., Hiraki, A. , Jono, H., Hamada, A., Yoshida, K., Nishimura, Y., Nakamura, Y., and Shinohara, M
-
Journal Title
Clin. Cancer Res.
Volume: 21
Pages: 312-321
DOI
Peer Reviewed / Acknowledgement Compliant
-
-
-
[Presentation] Tumor-associated antigen-specific CD4+ T-cell immunity augmented by CTL-epitopes vaccination in patients with malignant tumor2014
Author(s)
Yuno Akira, Tomita Yusuke, Hirayama Masatoshi, Fukuma Daiki, Yoshitake Yoshihiro, Ogi Hidenao, Nakayama Hideki, Hiraki Akimitsu, Tsunoda Takuya, Daigo Yataro, Nakamura Yusuke, Nishimura Yasuharu, Shinohara Masanori
Organizer
第73回日本癌学会学術総会
Place of Presentation
横浜
Year and Date
2014-09-25 – 2014-09-27