2014 Fiscal Year Annual Research Report
ミトコンドリアダイナミクスを標的とした心臓老化に対する新しい治療法の開発
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26893211
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
池田 義之 鹿児島大学, 医歯(薬)学総合研究科, 講師 (00573023)
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Project Period (FY) |
2014-08-29 – 2016-03-31
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Keywords | 老化 / 循環器 / ミトコンドリア / オートファジー |
Outline of Annual Research Achievements |
老化(高齢)は心疾患発生の独立した危険因子であり、心臓の老化を抑制する方法の確立が重要視されている。本研究の目的は、心臓の老化の原因を検討し、治療ターゲットを明らかにすることである。心臓はミトコンドリアによるエネルギー産生の依存度が高いことから、ミトコンドリアの老化を抑制することが、心臓の老化防止につながる可能性がある。ミトコンドリアは絶えず細胞環境に応じてFissionとFusionを繰り返して形態を変化させるミトコンドリアダイナミクスを有することに着目し、ミトコンドリア形態が加齢とともに変化し、オートファジーによるミトコンドリアの質管理機構を抑制し、老化したミトコンドリアの蓄積からその機能低下(老化)を惹起し、結果心臓の老化を来しているのではないかという仮説を立証する。 本目的を達成するために、昨年H26年度は以下の研究を行った。 正常マウス(C57BL6)を用いて、老化に伴い心機能は低下し、心臓のミトコンドリア機能は低下し、さらにミトコンドリアダイナミクスがFusionに傾くことを明らかにした。 次にミトコンドリアダイナミクスを人為的にFusionに傾けた際の心臓老化や心機能がどのような影響を受けるかを検討した。ミトコンドリアのFissionに必須であるDrp1を心筋特異的にノックアウトしたマウス(Drp1-CKO)を作成した。Drp1-CKOにおいては、期待通りミトコンドリアはFusionに傾いていた。Drp1-CKOはコントロールマウスと比較し、心臓は肥大し心腹も拡大し、心筋の線維化が多いという老化の表現型を示した。さらに心臓のミトコンドリア機能は低下しており、心機能も有意に低下していた。以上から、加齢に伴うミトコンドリアのFusion化が、心臓老化を来している可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
H26年度に計画していた、正常マウスを使用しての、老化に伴うミトコンドリア形態の評価、組織学的変化の評価、心機能の変化の評価が終了している。 H27年度計画として挙げていた、心筋特異的Drp1ノックアウトマウスを使用しての、ミトコンドリア形態の評価、組織学的変化の評価、心機能の変化の評価がすでに終了している。 H26年度に計画していた、正常マウスにおけるオートファジーの経年的評価が現在進行中である。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度施行予定計画として掲げていた、Drp1-CKOマウスを用いた実験は、その多くを既に昨年度で完了できていることから、本年度はその中でまだ完了していない、Drp1-CKOおよびコントロールマウス心筋のSA-βGal染色による老化のさらなる評価を行う。 また、昨年度施行予定計画として挙げていた、正常マウスを用いた実験のうち、心臓におけるオートファジーの経年的評価を遂行する。 さらに、マウス実験(in vivo)による検討のみならず、培養心筋細胞を用いて同様の検討(ミトコンドリアダイナミクスの加齢性変化と、ミトコンドリア機能・細胞死・オートファジーとの関連を検討する)を行うことで、より強固に作業仮説の立証を目指す。
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