2014 Fiscal Year Annual Research Report
肝障害における肝細胞移植の効果―メカニズムの解明と臨床応用―
Project/Area Number |
26893232
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
斎藤 千恵子 大阪市立大学, 大学院医学研究科, 助教 (10735575)
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Project Period (FY) |
2014-08-29 – 2016-03-31
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Keywords | 肝障害 / 肝細胞移植 / アセトアミノフェン |
Outline of Annual Research Achievements |
肝障害を引き起こす薬剤であるアセトアミノフェン(APAP)に感受性が高い雄(♂)の肝細胞に、感受性が低い雌(♀)の肝細胞が接着すると、APAP存在下における♂肝細胞の生存率が有意に上がるという興味深い現象を見出した。そこでこのような現象が個体においても起こるならば肝細胞移植によって、障害を受けた肝臓を治療できるのではないかと考えた。本研究は、肝細胞移植による肝障害治療効果のメカニズムを探り、ヒトへの応用を目指す。 移植した肝細胞が肝臓へ生着するか調べるため、GFPを発現しているマウスから肝細胞をとり、肝障害を受けた♂マウスへ移植した。♂マウス肝臓の凍結切片を作り、蛍光顕微鏡により観察したところ、GFP肝細胞を確認した。また、♂マウスの肝臓でのGFP mRNA量は、移植した肝細胞の数に比例して増加する事をReal time PCRにより明らかにした。 今後、移植した肝細胞がAPAP誘導肝障害を軽減するかどうかを肝障害マーカーであるALT(アラニン・アミノトランスフェラーゼ)やHE(ヘマトキシリン・エオジン)染色により確認する。また、マウス肝細胞の70%以上が正常ヒト肝細胞に置き換えられたPXBマウスを用いてヒトへの応用の可能性を探り、そのメカニズムを解明できるように貢献する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
肝障害マウスへの肝細胞移植の際に、麻酔剤の注入を行ったところ予想に反して、高頻度でマウスが死亡することが判明した。研究遂行上、この問題を解決する必要があるため、他の麻酔薬を含め、麻酔処理方法を検討する必要が生じた。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでに初代肝細胞の系において、ギャップ結合を介した細胞間コミュニケーションを通して♀肝細胞が接触のある♂肝細胞をAPAPによる肝障害から救うという事を明らかにした。この結果をふまえると、マウス個体においても移植したメスの“元気な”肝細胞がギャップ結合を介して、障害をうけたオスの“弱った”肝細胞とコミュニケーションをとり障害を軽減する可能性が考えられる。よって、ギャップ結合を阻害した系ににおいて肝細胞移植の効果があるかどうか調べる。
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