2014 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
26893246
|
Research Institution | Hokkaido University of Science |
Principal Investigator |
奥村 由美恵 北海道科学大学, 保健医療学部, 助手 (50736436)
|
Project Period (FY) |
2014-08-29 – 2016-03-31
|
Keywords | 空腹 / 摂食嚥下 |
Outline of Annual Research Achievements |
空腹が摂食嚥下に及ぼす効果について,生理学的指標である筋電図を用いて客観的に明らかにすることを目的に研究を行った。平成26年度ではまず第一段階として,1.筋電図を用いた摂食嚥下運動の評価は可能か否か,2.空腹状態をつくり出すために必要な条件設定は何かについて予備実験を行った。 1について,健康成人3名に対し,筋電図用の電極を装着した状態で嚥下食1個を摂取してもらい,その際の筋活動量を測定した。しかし,特に咀嚼に伴った筋電図の基線の揺れが予想以上に大きく,筋活動量の評価は困難であった。基線の揺れを安定させる対策を施したが,基線の揺れは改善しなかった。またさまざまな対策を施すことで,それらが交絡因子となり,本来の目的である空腹そのものの効果の測定が不可能になってしまうことが推察された。以上から,来年度以降の実験では,評価方法を筋電図からビデオカメラを用いた動作分析へと変更することとした。動作分析では,個人の普段どおりの食べ方における,空腹と非空腹の純粋な比較を行うことができ,空腹の効果を評価することができると考えられた。 2については文献検討をもとに,空腹を「実験前の食事から6~8時間以内,血糖値100mg/dl未満であること」,非空腹を「実験前から1.5~2.5時間以内に食事をしていること,空腹時に測定した血糖値より高いこと」と設定し,健康な成人8名を対象に,空腹時と非空腹時における食物を摂取する直前の主観的な空腹の評価,食物の摂取量,摂取速度についての被験者内での比較を行った。実験はクロスオーバーデザインを用い,実験の物理的環境,摂取する食物は全て同一とした。結果,空腹時は食物を摂取する前の主観的な空腹の評価が有意に高く,食物の摂取量と摂取速度は有意に増加していた。従って,空腹と非空腹の条件設定は適切であったと評価し,来年度以降の研究に用いていくこととした。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成26年度の研究計画では,(1)筋電図を用いた摂食嚥下運動の評価は可能か否か,(2)空腹状態をつくり出すために必要な条件設定は何かについて予備実験を行うこととしていた。結果,(2)については明らかにすることができたが、(1)の筋電図を用いた評価が不可能であることが判明した。従って,当初の計画よりはやや遅れていると評価した。しかし予備実験を重ね,平成27年度は,当初の代替案であった動作分析により評価を行うことが可能であると判断した。
|
Strategy for Future Research Activity |
ビデオカメラを用いた動作分析を行い,空腹時と非空腹時における摂食動作を比較することで,空腹が摂食嚥下に及ぼす効果について検討する。
|