2014 Fiscal Year Annual Research Report
ナノハイドロキシアパタイト・人工合成コラーゲンを用いた骨補填材の開発
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26893247
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Research Institution | Iwate Medical University |
Principal Investigator |
畠山 航 岩手医科大学, 歯学部, 助教 (20733728)
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Project Period (FY) |
2014-08-29 – 2016-03-31
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Keywords | 生体材料 / ナノアパタイト / 合成コラーゲン / コラーゲン複合体 / 硬組織再生 / 医療デバイス |
Outline of Annual Research Achievements |
合成コラーゲンにナノサイズの合成アパタイト(n-HAP)を分散させた複合体を調製,マウスの背部皮下における軟組織反応(生体親和性)とラット頭蓋骨欠損部における硬組織反応について検討を加え,非動物由来の安全な骨伝導性・生体材料の創製を目指した.グリシン,プロリンとハイドロキシプロリンから成るポリペプチドを出発材料とし、カルボジイミドによる化学架橋とHOBT(1-ヒドロキシベンゾトリアゾール)による縮合を行い合成コラーゲン試料とした。n-HAPを混和した複合体の調製は凍結乾燥法により行った。成形(6x1 mm)は一軸加圧、抜き打ちで行い、オートクレーブによる最終滅菌を施した。実験(1):ヌードマウスの背部皮下に複合体試料を埋入した。1週後及び2週後、安楽死させ試料周囲組織を採取しホルマリン固定後、アルコール系列脱水、キシレン透徹、ワックス包埋し、ミクロトームで薄切後、HE染色を行った。実験(2):Wistarラットの頭蓋骨に6 mmの骨欠損部を形成し、複合体試料を埋入した。4週及び8週後、イソフルラン麻酔下、マイクロフォーカスX線CTによって骨の再生状態に検討を加えた。成果:(1)複合体は生体親和性に優れ、親水性に富むため早期1週から深部まで体液成分(フィブリン素)と貪食細胞の侵入が活発で、コラーゲン部の代謝とナノアパタイト粒子の排出活動が認められた。2週目では明瞭な肉芽組織の侵入と活発な代謝排出活動が観察された。血管新生活動は緩慢であった。(2)複合体は欠損部から浮き上がりやすく、0週から4週、8週にかけての経時的な骨再生挙動が明瞭には確認できなかった。一因として、軟らかい縫合糸の使用が考えられた。術式と生体材料の適応方法の改善で骨伝導の改善が見込まれると推察された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
実験計画書に記載の項目のうち重要部分の研究は達成された。合成コラーゲンの架橋方法についてはいくつか試み最善のカルボジイミドとHOBTの組み合わせを採択した。別に、グルタルアルデヒドを使用したがアルデヒド基が残留し安全性に問題があった。合成コラーゲンは親水性に富みナノアパタイト(n-HAP)と比較的容易に混和が可能であった。合成コラーゲンは耐熱温度が動物由来コラーゲンよりも80℃以上と高く、オートクレーブ滅菌が可能であり、通常のエチレンオキサイドガス滅菌を避けられる利点も認められた。プレスにより容易にメンブレン状に成形できた。生体組織中では体液と炎症性細胞の侵入が容易で高い生体親和性と代謝性が確認された。複合体の骨伝導能については現状では満足できていない。合成コラーゲン系複合材料はウイルス感染を防止できるため今後の医療応用・展開が期待できる。
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Strategy for Future Research Activity |
1)ナノハイドロキシアパタイト・人工合成コラーゲン複合材料の試料に関して理工学的な観察と分析を行う。具体的には走査型電子顕微鏡観察、熱分析、2次元EPMA(元素分析)などを行う。 2)骨所性欠損部での骨再生を可能にする術式と複合材料の適応方法に検討を加える。具体的には骨膜下への埋入による骨形成誘導の検討。 3)複合材料を幹細胞の移植担体として検討する。 4)複合材料にBMP等の成長因子を担持させ、骨誘導能を付与することも検討する。
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