2014 Fiscal Year Annual Research Report
足場蛋白および概日リズム遺伝子の変異に起因する自閉症のシナプス病態解明
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26893252
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Research Institution | Jichi Medical University |
Principal Investigator |
松本 歩 自治医科大学, 医学部, 助教 (20458318)
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Project Period (FY) |
2014-08-29 – 2016-03-31
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Keywords | 自閉症 / 発達障害 / シナプス |
Outline of Annual Research Achievements |
1)aCGH解析:ASD患者において解析を継続し、CNVを検出している。いくつかのCNV中の候補遺伝子について、病因であることの確認のために、他のASD患者で変異の有無を解析している。 2)シナプス関連および概日リズム関連遺伝子のASD患者における変異解析 ASD睡眠障害なし群14例(男 5名、女9名、年齢3歳~28歳)、ASD睡眠障害あり群14例(男12名、女2名、年齢3歳~19歳)、正常コントロール23例に対してシナプス関連候補遺伝子、概日リズム関連遺伝子のパネル作製、次世代シークエンサーを用い、変異解析を行った。対象遺伝子:ARNTL(Bmal1), CLOCK, PER1,2,3,CRY1,2, CSNK1D, CSNK1E, NR1D1, TIMELESS, BHLHE40(Dec1), BHLHE41(Dec2), NFIL3(E4bp4), DBP, MTNR1A, 1B, VIPR1,2, AVPR1A,1B, OXTR, SCTR。 ASD群では睡眠障害あり群(P=0.007)、なし群(P=0.002)ともコントロール群と比べ有意に概日リズム関連遺伝子の変異が多く検出された(ASD群全体vsコントロール群ではP=0.001)。概日リズム異常がASD発症に関与している可能性が示唆された。 3)既に変異同定している、概日リズム関連遺伝子(Timeless)のノックアウトマウスを作製し、既にF1マウスを得た。Timelessの変異例は概日リズム異常とASD症状を有する男児で検出された。患児は、低身長(-3.3SD)で乳児期早期から入眠は2から6時、起床は13時から16時の睡眠パターンで、同変異を有する母親も同様の睡眠パターンと興味の限定などASDの一部の症状を有していた。患児に対し高照度光療法を施行したが、睡眠パターン、メラトニンのピークのは変化しなかった。今後、同マウスを用い解析に着手する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
・aCGH解析は継続しており、CNVを検出している。 ・シナプス関連および概日リズム関連遺伝子のASD患者における変異解析について成果をまとめることができた。 ・概日リズム関連遺伝子(Timeless)のノックアウトマウスのF1マウスを得ることができたため、今後解析に着手することができる。
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Strategy for Future Research Activity |
1)aCGH解析を継続し、検出CNVの変異解析、機能解析を行う。また、検出された変異遺伝子を持つ患者リンパ球からiPS細胞の作成を依頼し、神経細胞へ分化させ、シナプス形成、神経ネットワークについて解析を行う。 2)概日リズム異常関連遺伝子解析で得られた他の変異(NR1D1,PER3など)についてASDとの関連性につき解析を行う。マウス子宮内遺伝子導入技術では発達期のマウスの大脳皮質における神経細胞の移動移動障害やアクソン伸長障害について解析を行う。 3)概日リズム関連遺伝子(Timeless)ノックアウトマウスを用い、マウスの成長、発育、概日リズムや行動パターン、脳の構造、シナプス形成等につき解析を行う。
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Research Products
(3 results)