2015 Fiscal Year Annual Research Report
表皮角化細胞におけるヘムオキシゲナーゼの発現と抗ストレス作用に関する検討
Project/Area Number |
26893260
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
藤田 春美 慶應義塾大学, 医学部, 特任助教 (30736971)
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Project Period (FY) |
2014-08-29 – 2016-03-31
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Keywords | 皮膚 / 酸化ストレス / 鉄 / 炎症 |
Outline of Annual Research Achievements |
ヘムオキシゲナーゼ(HO)はヘムを分解する酵素であり、酸化ストレス制御タンパクの一種として知られている。本年度は、昨年度に作出した表皮特異的HO-1/HO-2ダブルノックアウトマウスの表現型解析を行った。ノックアウトマウスはメンデルの法則に従って出生し、肉眼的観察と全身の重層角化上皮のHE染色切片の観察により、生理的条件下で表現型を示さないことを確認した。そこで、皮膚に外的に酸化ストレスを与えることで表現型の導出を試みた。具体的には、背部皮膚への紫外線(UVB)照射後の炎症反応の比較、および背部皮膚に手術創を形成し、治癒過程における創面積の縮小速度や治癒後の表皮の状態の比較を行ったが、いずれも正常コントロールとの間に違いは認められなかった。これまで、HOは種々の組織において酸化ストレス障害に対する細胞保護機能を持つことが示されてきたが、本解析により、表皮に発現するHOは生体防御・炎症制御に必須ではなく、他の酸化ストレス制御タンパクが代償性に機能している可能性が示された。 一方、HOは、ヘムを分解することでヘムに組み込まれている鉄イオンを遊離させ、体内の鉄イオン再利用に寄与することが知られている。これより、表皮においても、HOが細胞内のヘムを分解し、角層からの鉄排出を抑制している可能性が想定され、現在検討を行っている。これまでに、マウス耳介から単離した角層シートを用いた質量分析により、ノックアウトマウスの角層に含まれる鉄が数倍に増加することを示唆するデータが得られている。一般に、体内からの鉄分排出の約20~25%が角層の落屑によるとされており、本マウスでは角層からの鉄分排出が過剰となり、鉄代謝状態が個体レベルで変化している可能性がある。今後、本マウスを用いて、表皮における鉄代謝調節が個体の恒常性維持にどのような意義を持つか、検討を行う予定である。
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Research Progress Status |
27年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
27年度が最終年度であるため、記入しない。
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