2014 Fiscal Year Annual Research Report
尿酸トランスポーターによる脳内尿酸動態制御機構の解明
Project/Area Number |
26893275
|
Research Institution | Teikyo University |
Principal Investigator |
富岡 直子 帝京大学, 薬学部, 助教 (60525814)
|
Project Period (FY) |
2014-08-29 – 2016-03-31
|
Keywords | 尿酸 / トランスポーター |
Outline of Annual Research Achievements |
高尿酸血症は痛風の原因や心血管障害の危険因子であるとされる一方、疫学的には高めの尿酸値が神経変性疾患尿酸の発症および症状の進行を抑制することが報告されており、尿酸がその抗酸化作用により神経保護的に働くと考えられている。しかし、脳内の尿酸が何に由来するのか、またその濃度制御機構は明らかになっていなかった。研究代表者はこれまでに腎臓で尿酸の再吸収に関わる尿酸トランスポーターURAT1が脳内において脳室上衣細胞脳室側膜に局在することを明らかにしている。本研究では脳脊髄液から上衣細胞を介して脳実質に至る尿酸輸送が存在する可能性を検証することを目的とした。 本年度は1) 脳室上衣細胞における尿酸トランスポーターの発現解析および2)マウス脳脊髄液中尿酸濃度測定系の構築を行った。1) 腎臓近位尿細管細胞において尿酸輸送に関わる主要なトランスポーターであるGLUT9/URATv1, ABCG2に関して免疫染色を行ったところ、脳室上衣細胞ではGLUT9/URATv1の染色シグナルが検出され、ABCG2に関しては明瞭な染色シグナルは見られなかった。抗GLUT9/URATv1抗体の特異性は抗原吸収試験にて確認した。2) マウスをイソフルランで麻酔し、大槽穿刺により脳脊髄液を採取する方法を確立した。本実験ではヒトとほぼ同じレベルの血中尿酸値を示すウリカーゼノックアウトマウスを用いており、血中に比べて低濃度であると予想された脳脊髄液中の尿酸濃度もHPLCを用いて測定することが可能であった。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
免疫染色により脳室上衣細胞における尿酸トランスポーターの発現解析に関して重要な結果が得られ、学会発表を行うことができたため。
|
Strategy for Future Research Activity |
今後は脈絡叢上皮細胞に発現している尿酸トランスポーターを明らかにし、脳内において尿酸濃度制御に関与する分子の候補を同定する。また、URAT1が脳脊髄液および脳実質尿酸濃度の制御に関与しているかどうか検討する。
|