2014 Fiscal Year Annual Research Report
歯周病が脂肪組織の拡大に及ぼす影響に関する細胞生物学的研究
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26893287
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
中井 久美子 日本大学, 歯学部, 助教 (50736725)
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Project Period (FY) |
2014-08-29 – 2016-03-31
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Keywords | 脂肪細胞 / ECMP / IL-6 / TNF-α / CRP |
Outline of Annual Research Achievements |
脂肪組織における細胞外基質タンパク (extracellular matrix protein; ECMP) のリモデリングを想定し,脂肪細胞のmatrix metalloproteinases (MMPs) およびplasminogen activators (PAs) などのECMP分解酵素と,これらの内因性阻害剤であるtissue inhibitor of metalloproteinases (TIMPs) およびplasminogen activator inhibitor (PAI) 発現に及ぼすInterleukin (IL)-6, Tumor necrosis factor (TNF)-αおよびC-reactive protein (CRP) の影響をin vitroレベルで検討した。 本研究では,脂肪細胞として,マウス胎仔由来3T3-L1細胞を,脂肪細胞へ分化誘導した細胞を用いた。分化した脂肪細胞をTNF-α,IL-6およびCRPで刺激すると, MMP-1, -2, -3, -9, -11, -13 , -14, uPAおよびTIMP-1の発現は増加した。一方, TIMP-2, tPAおよびPAI-1の発現に影響は認められなかった。 以上の結果から,TNF-α, IL-6およびCRPなどの炎症性因子は,脂肪細胞の複数のECMP分解酵素の発現増加を介して,ECMPリモデリングを促進し,脂肪組織の再編を誘導する可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
上記に記載した今年度の研究実績は,平成26年度の研究計画にほぼ到達している。TNF-α, IL-6およびCRPの刺激で、MMPの阻害剤であるTIMP-1の発現が増加したことや、tPAとその阻害剤であるPAI-1の発現が変化しなかった点は,当初の予想とは異なる一方で,複数のECMP分解酵素の発現増加が,顕著に認められた。つまり,歯周病などの慢性炎症に由来する炎症性因子が,血流を介して内蔵脂肪細胞に直接作用することで,脂肪組織形成に影響を及ぼすのでは,との研究計画時の仮説を支持する興味深い結果を得ることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
TNF-α, IL-6およびCRPは,それぞれ細胞膜上のTNF受容体,IL-6受容体,Fc受容体に結合後,細胞内のMAPKシグナル伝達経路を介して刺激が伝達される。 そこで27年度は,刺激因子の阻害剤 (TNF-α中和抗体,IL-6中和抗体および抗Fc抗体),あるいはMPAKシグナル伝達因子 (p38 MAPK,extracellular signal-regulated kinase 1/2; ERK1/2,およびstress-activated protein kinases/c-jun N-terminal kinases; SAPK/JNK) のリン酸化阻害剤の存在下または非存在下で細胞を刺激し,ECMP分解酵素の発現増加に関与する細胞内シグナル伝達様式を検討する。
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Research Products
(1 results)