2014 Fiscal Year Annual Research Report
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26893297
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Research Institution | Tsurumi University |
Principal Investigator |
内田 仁司 鶴見大学, 歯学部, 助教 (20736996)
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Project Period (FY) |
2014-08-29 – 2016-03-31
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Keywords | 顎下腺 / Aqp5 / 概日リズム / 時計遺伝子 / in vivo / ex vivo |
Outline of Annual Research Achievements |
唾液腺機能における日内変動が「顎下腺による自律的な機能」なのか、「時計機能の中枢である視床下部視交叉上核に依存する受動的な制御を受ける」のかを明らかにするため、生体内(in vivo)と培養環境下(ex vivo)における顎下腺の時計遺伝子(Per2、Bmal1)、時計制御遺伝子(Dbp)と唾液腺機能分子(Aqp5、Amy)の発現状態を比較検討した。In vivo においては、野生型(C57BL/6)と時計遺伝子Cryを欠損して時計機能が消失したCry1-/-Cry2-/-(Cry-null)マウスを用いて、24時間で4時間毎に遺伝子発現状態を検出したところ、野生型ではPer2、Bmal1、Dbpに時間依存的な発現変動を示した。しかしながら、Cry-nullでは、発現変動を認めなかった。このことから、顎下腺に時計遺伝子の転写翻訳フィードバックループに依存する固有の時計機能が存在することが明らかとなった。また、in vivoで野生型において水チャネルAqp5にマウスの活動期である夜間に発現量が最大となる変動を認めた。しかしながら、ex vivoとCry-nullで時間依存性を示さなかったことから、Aqp5の発現変動に時計遺伝子は直接関与しないが、重要な役割を果たす可能性が示唆された。一方で、糖質分解酵素Amyは発現変動を示さなかった。以上の結果から、顎下腺には固有の時計機構が存在し、Aqp5の発現制御には分子時計機構が関与し、自律神経系を介した視交叉上核の制御を受けて日内変動を示すと考えられた。AQP5は唾液分泌に重要な役割を担うと考えられていることから、唾液分泌の日内変動にAqp5の発現変動が関与することが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は唾液腺に機能リズムを生じる機構を解明することを目的としており、平成26年度に唾液分泌に関与するAQP5の遺伝子発現の日内変動について検討した。生体内(in vivo)と培養条件下(ex vivo)における遺伝子発現状態をqPCRで検出し比較する事で、Aqp5の発現の日内変動に時計機能が関与することを明らかにした。この成果を学会で報告し、現在論文を投稿中である。今後、タンパク質量の時間依存性を解析する予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
平成26年度は、遺伝子発現の変動の解析を行った。平成27年度は、時計遺伝子と唾液腺機能分子のタンパク質量の時間依存的な変動を検討する予定である。遺伝子発現のサンプリングと同様のスケジュールでサンプリングを行うことで、遺伝子発現と翻訳のタイムラグを検討し、唾液腺の機能変動の解析を行っていく予定である。
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Remarks |
鶴見大学歯学部病理学講座website http://ccs.tsurumi-u.ac.jp/dental/kouza/byouri/index.html
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[Presentation] マウス顎下腺の概日リズム2014
Author(s)
内田仁司、阪井丘芳、斎藤一郎、中村渉
Organizer
歯科基礎医学会・学術大会
Place of Presentation
福岡国際会議場(福岡県、福岡市)
Year and Date
2014-09-25 – 2014-09-27