2014 Fiscal Year Annual Research Report
無菌・常在菌モデルマウスによる歯周疾患発症メカニズムの形態・免疫学的解明
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26893304
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Research Institution | Aichi Gakuin University |
Principal Investigator |
入江 浩一郎 愛知学院大学, 歯学部, 講師 (50509594)
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Project Period (FY) |
2014-08-29 – 2016-03-31
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Keywords | periodontitis / host response |
Outline of Annual Research Achievements |
常在菌は宿主の免疫応答や組織の構造、機能に多大な影響を与えているが、口腔常在菌が歯周組織に及ぼす影響に関しては不明な点が多い。本研究では、口腔常在菌による歯周組織の影響について、無菌状態のgerm-free (GF)マウスと口腔常在菌を有するspecific-pathogen-free (SPF) マウス用いて経時的な変化を検討した。無菌群・常在菌群の2群間で歯槽骨周囲及び、歯槽骨代謝に関わる血液成分に着目した。実験開始後それぞれ、8、22週間後に屠殺を行い、血液を採取し生化学的に評価した。骨形成マーカーとしてosteocalcin、骨吸収マーカーとして tartrate-resistant acid phosphatase form 5b(TRACP 5b)をELISA法で定量した。またマイクロCTを用いて、セメント・エナメル境から歯槽骨骨頂間の距離、歯槽骨の密度を計測し、歯槽骨の経時的な変化を評価した。osteocalcinは、SPFマウスに比べ、GFマウスの方が22wにおいて有意に増加していた (p<0.01)。一方TRACP 5bは、8w・22wにおいてそれぞれGFマウスに比べSPFマウスの方が有意に増加していた (p<0.01)。またセメント・エナメル境から歯槽骨頂までの距離は、8w・22wにおいてそれぞれGFマウスよりもSPFマウスの方が有意に大きかった(p<0.01)。また歯槽骨密度に関しては、SPFマウスに比べ、GFマウスの方が8w・22wにおいてそれぞれ有意に高かった (p<0.01)。常在菌を有するマウス(SPFマウス)は、無菌状態のマウス(GFマウス)と比べて炎症性細胞の浸潤や破骨細胞が活性化されており、歯槽骨吸収が強く認められた。歯周病病原菌だけではなく口腔常在菌もまた、炎症を介して歯周組織の形態や免疫応答に影響を与えているのかもしれない。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
口腔常在菌による歯周組織の影響について、無菌状態のgerm-free (GF)マウスと口腔常在菌を有するspecific-pathogen-free (SPF) マウス用いて経時的な変化を検討しており、問題なくマウスの屠殺およびサンプル採取も終えている。また当初の計画以上に、様々な角度から分析できており、より詳細な歯周組織への影響について分析できている。
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Strategy for Future Research Activity |
昨年度に採取したマウスのサンプルから、右側歯周組織の歯肉を用いる。8、22週間後のそれぞれ歯肉からmRNAを抽出し、詳細な歯周組織への影響を解明するために、PCRアレイ法を用いて歯周組織中のサイトカイン、ケモカイン、骨代謝関連因子の遺伝子解析を行う。また左側歯周組織を用いて、タンパク発現を解析するために、免疫染色を行い、病理組織学的変化の検討を行う予定である。また研究計画の変更に柔軟に対応できるように、サンプル(歯肉・血液)は極力多めに採取し、適宜対応できるように準備している。
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Research Products
(2 results)