2014 Fiscal Year Annual Research Report
神経障害性疼痛の情動的側面に対する新規診断法の開発
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26893308
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Research Institution | Kansai Medical University |
Principal Investigator |
首藤 由江 関西医科大学, 医学部, 助教 (60509496)
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Project Period (FY) |
2014-08-29 – 2016-03-31
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Keywords | 神経障害性疼痛 / 情動的側面 / miRNA / 情動的ストレス / 拘束ストレス |
Outline of Annual Research Achievements |
痛みの感覚は器質的側面と情動的側面により構成されているが、臨床現場では器質的側面への治療が優先される傾向がある。治療抵抗例の中には情動的側面の関与が大きな病態も含まれているが、これに対する客観的指標がないことから漫然と器質的側面への治療が進められる傾向がある。このため情動的側面への介入が遅れてしまい、痛みの難治化が進んだり、背後にあるうつ病に対する治療が遅れることも現状では生じている。こうした現状をふまえ、今回痛みの情動的側面に対する客観的指標を確立することを目的に、神経障害性疼痛モデルマウスを用いた実験を行った。神経障害性疼痛マウス(坐骨神経を結紮;CCI群)を作製し、1週間で疼痛が慢性化したことを確認した。その後拘束ストレス負荷を行う群と行わない群(コントロール群)に分け、これらの前頭前皮質と脊髄、後根神経節において、痛みを構成する分子の変化を検討することとしていたが、平成26年度は ストレスをかける時間などの条件検討で時間を要した。平成27年度は条件を確定して前述の部位での分子の発現の変化を確認すること、行動解析(疼痛行動、不安様行動、うつ病様行動)を行うこと、またこれらの結果を踏まえたうえで、各群において血清中のmiRNAの発現の変化を次世代シーケンサーにて解析を行う予定である。CCI群に情動ストレス負荷を与えた場合に特異的に認めるmiRNAを検出できれば、神経障害性疼痛の情動的側面に対するバイオマーカーとなりうることが期待できるものと考える。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
神経障害性疼痛モデルマウスに対する拘束ストレス負荷の条件を検討するにあたり、ELISAを用いてcortisolの発現を確認していたが、当初用いることを予定していた神経障害性疼痛マウス(SNTモデル)ではデータのばらつきを大きく、また解析に十分なサンプルを作製するのに時間を要することが経過中に明らかとなったことから、途中で実験系の変更を行った。このために進捗状況がやや遅れる結果に繋がっている。
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Strategy for Future Research Activity |
平成26年度中に新たな神経障害性疼痛モデルの確立が出来ており、また拘束ストレス負荷にて慢性ストレス状態となる最低条件を血中のcortisol量にて確認ができたので、平成27年度は慢性ストレスが神経系の分子発現の変化につながる条件を確立する。またその条件での各群における前頭前皮質と脊髄、および後根神経節での分子の発現の変化を確認すること、行動解析(疼痛行動、不安様行動、うつ病様行動)を行うこと、またこれらの結果を踏まえたうえで、各群において血清中のmiRNAの発現の変化を次世代シーケンサーにて解析を行う予定である。
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