2014 Fiscal Year Annual Research Report
Dravet症候群患者由来iPS細胞におけるGABA作動性ニューロンの解析
Project/Area Number |
26893318
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Research Institution | Fukuoka University |
Principal Investigator |
河野 洋幸 福岡大学, てんかん分子病態研究所, ポスト・ドクター (10736218)
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Project Period (FY) |
2014-08-29 – 2016-03-31
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Keywords | Dravet症候群 / シナプス / てんかん / iPS細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
Dravet症候群患者由来のiPS細胞の樹立、TALEN技術を用いた遺伝子変異の修復に関しては予定通り進んでいる。シナプス解析に適したモデル標本である、オータプス培養標本(単一ニューロン培養法)の作製に関して問題が生じている。iPS細胞がGABA作動性ニューロンに分化し、電気活動を記録できるまで発達するのには1ヶ月以上の培養期間が必要であるが、この間オータプス培養標本を維持できていない。単一ニューロンが他のニューロンとネットワークを形成するのを防ぐために、軸索の伸長範囲を制限するように300µm四方の区画化したアストロサイトを培養しているが、この範囲内のアストロサイト数は約30個ほどである。少数のアストロサイト培養では、維持が不安定となり、はがれやすくなることが原因である。そこで、九州工業大学と共同研究を行い、従来の方法とは異なる培養法を検討している。基盤に微小孔を形成し、裏面全体にアストロサイト層を、表面にドッド状にコラーゲンコーティングを施し、そこに単一ニューロンを培養する方法である。この方法で、アストロサイト層が安定し、さらに微小孔を通じてアストロサイトからニューロンに液性因子の供給も行われるため、ニューロンは十分に発達できる環境ができることを期待している。 当研究機関が所有しているDravet症候群モデルマウス初代培養を用いた、従来の方法で作製したオータプス培養標本によるシナプス解析の結果では、GABA作動性ニューロンにおける、活動電位依存的なシナプス後電流が減少している傾向が得られており、この解析法をiPS細胞でも行う。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初の研究計画では、Dravet症候群患者由来iPS細胞のGABA作動性ニューロンを用いてオータプス培養標本を作製し、薬効評価まで行う予定であったが、実際は、オータプス培養標本の作製に問題が生じ、計画が遅れている。現在、Dravet症候群モデルマウスを用いて、行動評価・てんかん易発性の確認を行い、さらにてんかんに関連するタンパクやトランスポーターの発現を定量化しつつ、オータプス培養標本の作製に取り組んでいる。 九州工業大学との共同研究により、オータプス培養標本の作製が順調に行えれば、当初の研究目標は達成できると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の研究計画では、ヒトiPS細胞を用いることを計画していたが、うまくいかない場合にはモデルマウスを用いて初代培養を行うことを計画している。また、てんかん発作時に特異的に活性化する脳部位を検討中であり、この結果次第では、脳スライスを用いたパッチクランプ法による解析も計画している。 Dravet症候群モデルマウスのてんかん易発性、また、突然死の発生頻度の高さから、モデルマウスを用いた研究の意義が再確認され、てんかんの薬物治療を目指した動物実験も予定している。
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