2014 Fiscal Year Annual Research Report
理科教育における概念の形成過程の自覚化を重視した「自己評価」に基づく授業改善
Project/Area Number |
26909028
|
Research Institution | 山梨県立甲府城西高等学校 |
Principal Investigator |
中島 雅子 山梨県立甲府城西高等学校, 教諭
|
Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2015-03-31
|
Keywords | OPPA / 自己評価 / 理科教育 |
Outline of Annual Research Achievements |
<研究の目的> 概念の形成過程を重視した「自己評価」の具体的な成立とその効果を, 小学生と中学生を対象に, 一枚ポートフォリオ評価法(OPPA)を導入することにより検証した。 <研究の方法> 小学校6年生「てこのはたらき」の単元と中学校1年生「植物の世界」の単元において, 授業を実施し、その際「OPPシート(OPPAで用いるシート)」を作成し, 学習者に毎時間記述させた。その記述より, 学習者が理科の授業を通して何を獲得したのか, および, その形成過程を分析し, OPPAの効果を明らかにした <研究の成果> 次の4点が明らかになった。 (1)学習者の素朴概念とその変容過程が把握できること。(2)それが、教師と学習者の双方に可能であること(3)それらは, 学習者が自らの学びの客観視によること。その結果、「理科を学ぶ意味や必然性」の感得がもたらされること。このように, 考えるとOPPAは, 言語活動の1つと考えられる。(4)学習意欲の向上が見られたこと。これは, 「理科嫌い理科離れ問題」の解決を促すと考える。 さらに、小・中学校の現場で有効に働くための条件として、次の2つが明らかになった。 (1)学習者が、OPPAに好意的であること。これは、このシートが自分の学習に役立つと自覚したことによる。 (2)これらは, OPPAの効果の1つである概念の形成過程の可視化によりもたらされたと考えられること。 <意義・重要性> 本研究の意義・重要性は次の4点にある。(1)学習者が, 自己の概念の形成過程を自覚する条件は, 形成過程の可視化にあり、これにより, 自覚化が促され, 「学ぶ意味」や「学ぶ必然性」が形成されること。(2)それらを「自己評価」と結び付けることで, 理科嫌い・理科離れ問題の克服が図られたこと。(3)「自己評価」を, 学習者側からの視点のみに留まるのではなく、教師側に授業改善の方途を指し示すものとして位置づけたこと。(4)これにより, 学習者の自己評価に基づく授業改善の具体的な方法論を明らかにしたこと。
|
Research Products
(3 results)