2014 Fiscal Year Annual Research Report
ミコフェノール酸薬効バイオマーカーとしてのIMPDH活性と薬物動態の個人差の影響
Project/Area Number |
26927008
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Research Institution | Akita University |
Principal Investigator |
藤山 信弘 秋田大学, 医学部附属病院, 特任助教
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 腎移植 / 抗HLA抗体 / IMPDH活性 |
Outline of Annual Research Achievements |
【背景・目的】ミコフェノール酸モフェチル(MMF)は、T&Bリンパ球などにおいてde novo経路律速酵素イノシン5'-モノホスフェート脱水素酵素(IMPDH)を選択的かつ可逆的に阻害することで、臓器移植後の拒絶抑制に大きな役割を果たしている。本研究では、生体腎移植患者における免疫抑制状態を表す血中抗HLA抗体発現に与える末梢血単核球(PBMC)IMPDH活性の影響を評価した。【方法】リンパ球感受性試験は、患者PBMCにコンカナバリンAまたはフィトヘマグルチニンを暴露させ、その細胞増殖に与えるMMF、MPA及びMPAGの影響をMTTアッセイにより評価した。またIMPDH活性は、PBMCライセートにIMP及び補酵素NAD^+を加え反応させ、産生されるキサントシン-5'-モノホスフェートをHPLCで分析した。【結果】血漿用採血からPBMCを分取し、MMF、MPA及びMPAGのリンパ球感受性試験を行った。その結果、抗原刺激によるリンパ球増殖はMMF及びMPA添加によって抑制されたが、MPAG添加による増殖抑制効果は見られなかった。また、患者26名からPBMCを分取しIMPDH活性を測定したところ、4.58±1.85 nmol/h/mg proteinであり、IMPDH活性には最大2.4倍の個人差がみられた。さらに、血中抗HLA抗体発現に対する影響を強化するためにIMPDH活性、レシピエント性別・年齢、透析期間、ABO適合/不適合、リツキシマブの使用、免疫学的リスクドナーの有無、2次移植、ドナー性別・年齢、HLAミスマッチ数、移植前リンパ球クロスマッチ試験、タクロリムス外来TDM平均値及びそのCV値を独立変数とした多変量解析を行った。その結果、2次移植であることとタクロリムス外来TDMCV値の高い患者群で移植抗HLA抗体発現が高い傾向がみられたが、IMPDH活性との関連は見られなかった。【考察】現時点ではIMPDH活性の測定症例数が少なく、抗HLA抗体発現との関連は見られなかったが、更なる追加検討が必要である。
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