2014 Fiscal Year Annual Research Report
地域医療におけるがんチーム医療の確立:自己管理ノートを介した情報共有の有用性評価
Project/Area Number |
26928003
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
池見 泰明 京都大学, 医学部附属病院薬剤部, 薬剤師
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 情報共有 / 自己管理ノート / コミュニティにおけるがんチーム医療 |
Outline of Annual Research Achievements |
【研究目的】がん化学療法を安全に実施するためには、病院だけでなく保険薬局や訪問看護を含めた地域でのチーム医療(コミュニティにおけるチーム医療)を実施することが重要である。そのためには患者情報の共有が必要不可欠であり、京都大学医学部附属病院では、患者自身が治療中の副作用症状や服薬状況を記載し、医師、看護師、薬剤師が副作用や服薬状況を把握することが可能な自己管理ノートを活用した情報共有を行ってきた。本研究においては、自己管理ノートを介したがん化学療法に関連する副作用情報などを、地域医療において共有することの有用性について評価した。 【研究方法及び成果】2014年5月から2015年3月にアファチニブにより治療を受けた肺がん患者15例を対象として、自己管理ノート及び排便状況自己評価シートを用いて排便状況、下痢時のロペラミドの服用方法についての情報共有をはかった。情報共有前(介入前)9例と情報共有後(介入後)6例について、有害事象による緊急入院の割合、保険薬局からの服薬情報提供書の報告件数、アファチニブ服用継続期間、下痢の重篤度、ロペラミドの服用量について検討した。介入前後における有害事象による緊急入院の割合は、それぞれ22%、17%、服薬情報提供処方報告件数は介入前0件、介入後は2件であった。下痢によるアファチニブの休薬は、介入前は9例中4例(44%)、介入後は6例中1例(17%)であった。下痢の重篤度は、介入前grade1 : 9例中9例(100%)、grade2 : 9例中3例(33%)に対し、介入後grade1 : 6例中5例(83%)、grade2 : 6例中2例(33%)であった。介入前後のロペラミドの服用量は、それぞれ平均6.2mg/日、3.8mg/日であった。 自己管理ノートを介した情報共有は、緊急入院の減少、副作用の重篤化防止及び支持療法薬の適正使用に有用であることが示唆された。
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