2014 Fiscal Year Annual Research Report
放射線誘発口腔粘膜炎に対するパルプロ酸ナトリウムの有用性に関する研究
Project/Area Number |
26929027
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
渡邉 真一 愛媛大学, 医学部附属病院, 薬剤師
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 口内炎 / バルプロ酸ナトリウム / 放射線 |
Outline of Annual Research Achievements |
【研究概要】 がん放射線治療により生じる口内炎は重篤で患者のQOLを大きく低下させるにも関わらず、現在のところ有効な治療薬剤はなく、臨床では局所麻酔や鎮痛・抗炎症薬による対症療法が行われているに過ぎないことから、口腔粘膜炎用薬の開発・開拓が望まれている。近年、ヒストン脱アセチル化酵素(HDAC)阻害剤が後天的な遺伝作用をもたらすことで、放射線によるDNAの損傷を防護することが報告された。これまでに我々は、ハムスターのチークポーチに放射線を単回照射することで口内炎が発症することを確認しており、放射線誘発口内炎に対してHDAC阻害剤であるバルプロ酸ナトリウムの有用性について検討を行った。 【方法】 6週齢の雄性シリアンハムスターのチークポーチに放射線単回照射(30Gy)を行うことで口内炎を発症させた。バルプロ酸ナトリウム(100, 300, 600mg/kg)は放射線照射30分後に腹腔内投与した。口内炎の評価は、発生した口内炎の程度を判断するスコアリング(0~5の6段階)および炎症マーカーである好中球ミエロペルオキシダーゼ(MPO)活性により行った。 【結果・考察】 バルプロ酸ナトリウムを投与することで、口内炎発生初期より用量依存的に口内炎スコアの軽減が認められた。また、600mg/kg投与群においては有意にMPO活性を低下させた。本研究によりバルプロ酸ナトリウムは口内炎予防・軽減作用を示すことが明らかとなった。また、目立った有害事象はみられていない。このことによりバルプロ酸ナトリウムは放射線誘発口内炎の予防薬として、有用である可能性が示唆された。さらに詳細なメカニズムについては引き続き検討を行う予定である。
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