1985 Fiscal Year Annual Research Report
自動飛跡選別装置によるビューティ粒子崩壊の直接観測とチャーム粒子の精密研究
Project/Area Number |
58065005
|
Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
丹生 潔 名古屋大学, 理, 教授 (50013363)
|
Keywords | チャーム粒子 / ビューティ粒子 / 新素粒子測定装置 / 自動飛跡選別装置 / 原子核乾板 |
Research Abstract |
昭和58、59年度に増強した新素粒子測定装置を用いて新素粒子崩壊の探査測定をすすめた。 CERN実験WA75で350GeVπ中間子ビームを照射した原子核乾板中から 目的のビューティ粒子の対発生対崩壊例を世界ではじめて直接検出して寿命を測定した。つづいてまた、チャーム粒子2対(計4コ)の同時発生という極めて稀な現象を世界ではじめて2例検出した。前者はすでに学会誌に発表され、後者の論文は間もなく投稿される。ビューティ粒子の寿命はこれまでの間接測定結果より短いこと また、チャーム粒子2対同時発生現象の発生頻度が判明したことは、いずれも素粒子物理学に対する大きな貢献である。 以上の成果をあげた国際共同研究において名古屋グループは先導的な役割を果たし、新素粒子測定装置を用いて単独で全共同研究の1/2のデータ解析を遂行してきている。本特別推進研究費で増強した新素粒子自動測定装置の性能について 昭和60年9月にローマで開催された粒子飛跡検出器の国際会議に報告したが、下記の2として間もなく公表される。 WA75実験は第1回照射実験データの解析をほぼ終っており、現在第2回照射実験データの解析準備がとっのって、この4月から実際の解析にとりかかることになっている。一方、米国FNALの800GeV陽子ビームを用いる実験E-653は第1回照射実験を昭和60年4月〜8月に行ったが、原子核乾板の前処理はすでにおわり、カウンターのデータを待っている。昭和61年度の後半に測定解析のピークを迎える予定であるが 全体としてCERN実験WA75の約10倍のデータが得られることになっている。またE653の第2回照射実験が昭和62年3月に開始されるが、この新実験に向けて測定精度の向上と測定能率の一層の改善が計画され、その予備テストと準備を本年度中に行った。
|