1985 Fiscal Year Annual Research Report
電子ビーム脱硫・脱硝におけるドースエンハンスメントの研究
Project/Area Number |
59420027
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
増田 閃一 東京大学, 工, 教授 (40010615)
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Keywords | 電子ビーム / 脱硫 / 脱硝 / ドースエンハンスメント / 高電圧パルス |
Research Abstract |
本年度は、電子ビーム照射空間に高電圧パルスを印加した場合の脱硫脱硝反応の促進について調べた。実験に使用した反応セルは、内径100mm,全長470mmのステンレス製円筒で、電子ビームを照射する部分は厚さ30μmのステンレス箔で作製されている。このセルにNO.S【O_2】,N【H_3】を含む空気を流通し、ダイナミトロン照射装置を用いて加速電圧1.5MV、照射電流40μAの電子ビームを照射しながら、立上り時間約50ns、幅約300ns、波高値20〜60kvの高電圧パルスを印加した。その結果、NO-N【H_3】-空気混合ガスでは、電子ビーム照射のみでもNOxがかなり除去されるが(ガスのセル内滞留時間75秒の場合180ppmのNO+N【O_2】が100ppmまで減少する)、高電圧パルスを印加すると、波高値が約40KV以上のときNOの酸化がさらに促進されることがわかった。この場合、波高値が50KV以下だと、滞留時間を十分長くとってもNOの酸化に伴って生成されるN【O_2】が減少せず、NOx全体としてはわずかしか減少しない。そこで波高値を約60kVまで高めるとNO,N【O_2】ともに滞留時間75秒でほぼすべて除去することができた。反応セルの中心電極の直径を変えて脱硝実験を行なったところ、直径が3mmおよび12mmのものでは、印加パルス波高値がコロナ放電を生じる値以上になると脱硝効果が現れることが確認された。直径が42mmの電極を使用した場合は十分高い電圧を印加しても(約60kV)、コロナ放電が生じないので、NOx濃度を減少させることはできなかった。このことから、脱硝効果の促進にコロナ放電が寄与していることが明らかになった。NO-S【O_2】-N【H_3】-空気混合ガスを使用した実験では、NOxについては上記の場合同様、印加パルス波高値を大きくすることにより除去できた(波高値-63kV、滞留時間10〜20秒で約90%除去される)。S【O_2】については、N【H_3】添加のみで約60%、電子ビーム照射でさらに約10%の減少が見られたが、これにパルス印加を併用しても、大きな効果は現れなかった。
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