1985 Fiscal Year Annual Research Report
高速高ひずみ熱間圧延急冷法による超微細結晶粒鋼板に関する研究
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59420040
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
加藤 健三 大阪大学, 工, 教授 (60028925)
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Keywords | 熱間圧延 / 微細結晶粒 / 再結晶 / 集合組織 |
Research Abstract |
1. 本年度においては購入した高温横型管状炉を使用して、高速高ひずみ熱間圧延後に急冷するまでの保持時間の影響を検討し、材料としてSUS304ステンレス鋼をアルゴンと水素の雰囲気中で1174℃で30分間保持して初期粒径を125μmに調整した後、1100℃、1000℃,900℃において20m/sの高速で圧延した。保持時間は3,25,250msの3段階として、超微細結晶粒の再結晶発生条件を研究した結果、圧延温度が高い程、保持時間が長い程、微細粒の発生する臨界圧下率が減少することが明らかとなり、また、微細粒の粒径は圧延温度が高い程、圧下率が低い程、保持時間が長い程、大きくなることが判明した。 2. つぎに再結晶で生ずる微細結晶粒の本質を究明するため、圧延温度1000℃,圧下率40%で得られる再結晶粒に対して、800℃32%圧延材を焼鈍して同等の再結晶粒を発生させて、両者の比較を行った結果、光学顕微鏡組織、硬さ測定では差がなかったが、X線集合組織および電子顕微鏡観察においては差異が見られ、熱間圧延急冷法によって得られる微細粒と加工組織を焼鈍して得られる再結晶粒とは異なる機構を有している可能性があることが判明した。 3. 以上のステンレス鋼に対して、極低炭素鋼の高速熱間圧延を圧延温度850℃から600℃の間のフエライト領域で実施し、圧延急冷材の表面直下にステンレス鋼と同様の微細結晶粒を生ずることを見出した。これは圧延材の非常に大きな付加的せん断ひずみを生じる領域に発生する微細粒であり、850℃で11μm,650℃で2μmであった。微細な再結晶粒の電子顕微鏡観察によれば再結晶粒の内部には多くの転位が含まれている特色がある。なお、集合組織については、板厚中心部では(222),(200)方位が強く、表面へ向かってせん断ひずみの増加にともない、(110)方位が強くなる。
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[Publications] 鉄と鋼. 71-5. (1985)
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[Publications] 鉄と鋼. 71-13. (1985)
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[Publications] Transactions ISIJ. 25-10. (1985)