1985 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
59430002
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
林 久治 理化学研究所, その他, 研究員 (50087508)
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Keywords | 励起分子 / 外部磁場効果 / ミセル / カルボニル / キサントン / CIDEP / シクロヘキサジエニル型ラジカル / 一酸化窒素 / 化学発光 / レーザー励起けい光 / 二硫化炭素 / ピリミジン / 回転緩和 |
Research Abstract |
1.ミセル中のカルボニル化合物の光還元反応において、電子スピンの分極をCIDEP法で研究した。前年度に見出されたCIDEPスペクトルの異常位相に対して、陰・陽ミセル効果や三重項消失の実験と理論的解析を行い、水素引き抜きで生成したアルキルラジカルが分極を保ったまま分子内水素移動する機構で異常位相を説明した。金属の関与する反応では、キサントンの反応をB,Si,Ge,Snなどの水素化物を水素供与体としてCIDEP法で研究した。これらの反応ではキサントンはケチルラジカルのみではなくシクロヘキサジエニル型のラジカルも生成することが分った。後者の生成は、従来の光化学反応の常識では考えられない新現象で今後の発展が期待される。 2.低圧気体のマイクロ波放電により生じる化学発光の磁場効果に関しては、【N_2】と【O_2】の混合気体の放電によりNOのB→X発光を観測した。V′=0準位からの発光強度は磁場強度の増大と共に急激に減少し、5kGではゼロ磁場での値の18%になり、以後18kGまでは一定値を保つ。他方、V′=1又は2準位からの発光強度は磁場強度の増大と共に徐々に増加し、18kGではゼロ磁場での値のそれぞれ113%および138%になる。別の気体の放電では磁場効果がなかったことより、上記の磁場効果は反応過程が原因であると考えられる。 3.低圧気体分子のけい光の磁場効果に関しては、主としてエキシマーレーザー励起色素レーザーの2倍波を用いて研究した。C【S_2】の337.1nm励起による発光の磁場効果の機構を研究するために、発光励起スペクトルと吸収スペクトルの磁場効果を測定した。その結果、励起直後の緩和過程に磁場効果があることが分った。ピリミジンの無振動【S_1】状態を回転準位を選択して励起し、回転準位間発光の時間経過を磁場下で測定した。この磁場効果より、回転緩和後の分子間エネルギー移動が磁場により促進されることが明らかになった。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] Journal of Physical Chemistry. 90-1. (1986)
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[Publications] Journal of Physical Chemistry. 90-4. (1986)
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[Publications] Physical Chemistry Letters. 115-1. (1985)
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[Publications] Physical Chemistry Letters. 119-6. (1985)
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[Publications] Physical Chemistry Letters. 120-4,5. (1985)