1985 Fiscal Year Annual Research Report
X線結晶解析法と円二色性法による有機化合物の絶対構造決定
Project/Area Number |
59430005
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
原田 宣之 東北大学, 非水研, 助教授 (30006324)
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Keywords | 円二色性 / 天然有機化合物 / 絶対構造 / 励起子相互作用 / 励起子カイラリティー法 / X線結晶構造解析 / 重原子異常分散効果 / コットン効果 |
Research Abstract |
本研究においては、X線結晶解析法と円二色性法による光学活性有機化合物の絶対構造決定について研究し、次に示す実績をあげた。 1.光学活性有機化合物の絶対構造を決定するのに、円二色性励起子カイラリティー法が非常に有用である。我々は、ナフタレン発色団を2個もつスピロ化合物に、この方法を拡張適用し、その絶対構造を一義的に決定することができた。この化合物系は、理論から予想されたように非常に強い励起子分裂型コットン効果を示し、励起子カイラリティー法の基礎をさらに確立するものとなった。 2.上記の研究に関連して、光学活性カラムを用いた液体クロマトグラフィーによる光学分割を検討し、この分割法がスピロ化合物系の光学分割に非常に有用であることを見出した。 3.光学活性化合物を不斉合成する時は、生成物の絶対構造を決定することが重要である。我々は、核間に保護されたヒドロキシメチル基をもつWieland-Miescherケトン類縁体を不斉合成し、その絶対構造を円二色性励起子カイラリティー法を適用することによって決定した。 4.天然有機化合物の絶対構造を円二色性スペクトルによって決定する時、励起子カイラリティー法が常に有用とは限らず、適用困難な系がある。ねじれたπ電子共役系をもつものも、絶対構造の決定が困難なものの一群である。我々は、π電子SCF-CI-DV分子軌道法による円二色性スペクトルの理論計算が非常に有用であることを示し、アズレン化合物の不安定な生合成中間体の絶対構造を決定してきた。本年度も、沖縄産海綿の生産する強心活性化合物halenaquinolの絶対構造を、円二色性スペクトルを理論計算することにより決定するのに成功した。 即ち、種々の誘導体の中で、ナフタレン-ジエン系が強いCDスペクトルを示し、計算においても良く再現できることを見出した。現在、この絶対構造決定法を他の種々の系にも適用している。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] Journal of the Chemical Society,Perkin Trans.1. P1845 (1985)
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[Publications] Journal of Chemical Research(S). P148 (1985)
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[Publications] Journal of Chemical Research(M). P1746 (1985)
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[Publications] Tetrahedron Letters. Vol.26. P3833 (1985)