1985 Fiscal Year Annual Research Report
電子スピン共鳴法による新しいドナー・アクセプター相互作用の研究
Project/Area Number |
59430009
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Research Institution | Ochanomizu University |
Principal Investigator |
曽根 興三 お茶の水女子大学, 理, 教授 (10021908)
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Keywords | 電子スピン共鳴 / ESR / ドナー / アクセプター / 錯体 / 電荷移動 |
Research Abstract |
1.[Cu(N,N,N′,N′-テトラメチルエチレンジアミン)(β-ジケトナト)秤Cl【O_4】の一般式で表わされる銅錯体を多数の有機溶媒に溶解した時に生ずる電子スピシ共鳴(以下ESRと略)の変化を系統的に研究した。その結果、平面型錯イオンの上下から溶媒分子が結合する際の溶媒のドナー性の強さと、配位子上の置換基の電子的効果が組み合わさってESRのg||値と錯体の立体構造(テトラゴナル性)を決定し、從って両者の間には密接な関連があることがわかった。以前に電子スペクトルにもとずいて提案されたこれら錯体の構造モデルは、これによってさらに明瞭な形で裏付けられた。(曽根・福田) 2.(1)N,N-置換ビアクリジニウムおよびビキノリニウム陽イオン類の励起状態における電子移動に及ぼす構造の影響を知るため、蛍光の消光と光照射下でのESRの測定を行い、縮合している環の数やメチル基の位置などの効果について種々の規則性を認めた。基底状態における電子的還元についても電気化学的に検討した。(2)ビアクリジニウム塩類固体を加圧する時の電子移動の容易さについて主としてESRによって研究し、若干の還元物を単離同定した。(3)メソテトラフェニルポルフィリン置換体のコバルト錯体が、光照射下で可逆的に有機ラジカルを生成することを認め、また新種の低温サーモクロミズムを発見した。(4)ビスクマラニル誘導体の加熱・加圧による着色現象を、主としてESRによって研究した。(前田) 3.新有機化合物AzaTCNQをアクセプターとする電荷移動錯体のうち、【(TMTSF)_2】AzaTCNQは室温から150Kの間で金属的挙動を示すことを、電気伝導、熱起電力およびESRの測定によって確かめた。また、黒リン単結晶に気体のヨウ素を反応させて生ずる層間化合物は80K以下で金属的挙動を示すので、そのESRによる研究を企画している。(丸山)
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[Publications] Bull.Chem.Soc.Japan. 58-12. (1985)
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[Publications] J.Chem.Soc.Perkin. 1985-2. (1985)
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[Publications] Bull.Chem.Soc.Japan. (1986)