1985 Fiscal Year Annual Research Report
タンパク質の合成効率とメッセンジャーRNA構造の関係
Project/Area Number |
59430026
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
三浦 謹一郎 東京大学, 工, 教授 (30000227)
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Keywords | タンパク貭合成 / メッセンジャーRNA(mRNA) / リボソーム / 遺伝子の情報発現 / 真核細胞 / 遺伝情報発現の調節 |
Research Abstract |
タンパク貭合成のメカニズムの大すじは地球上の生物には共通であるが、真核生物と原核生物では合成開始の方法などに異なるところがある。メッセンジャーRNA(mRNA)のタンパク貭合成開始に関与する部位の構造が異なり、従ってタンパク貭合成開始効率がmRNAとどのように関係しているかを見るためには真核,原核生物それぞれについて別に調べなければならない。 真核生物についてはこれまでの研究からタンパク貭合成の開始に当ってmRNAの方には開始コドンA-U-Gさえあればスタート可能で、5′末端キャップ構造がそれを助けると考えられていたが、本年度の実験でこの点が定量的に明らかになった。タンパク貭合成開始コドンA-U-Gや、これに1〜2コドンつなげたもの、あるいは非開始コドンとしてG-U-Cなどのオリゴリボヌクレオチドを化学合成し、これらの5′端をキャップ化したものも化学合成した。これらのオリゴヌクレオチドの3′末端に検出用のラジオアイソトープ【^(32)P】リン酸を含む〔5′-【^(32)P】〕pCpを酵素的に結合させた。蛋白貭合成開始状態にしたとき、これらのオリゴヌクレオチドのリボソームへの結合効率を定量的に測定した。非開始コドンはキャップをかぶせてもリボソームへ全く結合しないにもかかわらず、開始コドンA-U-Gはキャップなしでもわずかながらリボソームに結合した。そしてA-U-GないしA-U-G-A-C-Cはキャップをかぶせるとキャップなしの場合の約10倍強くリボソームに結合した。 原核生物の方はmRNAの開始コドンより5′寄りの先導配列中の塩基配列を変えたものを合成しようとしてまず基準に用いるファージ【f_1】の先導配列の化学合成を始めた。合成方法の検討を行ない、約10塩基長のオリゴリボヌクレオチドの合成が可能となった。これらRNA断片をRNAリガーゼで結合させ、塩基配列の異なる種々の先導配列を合成し、リボソームとの結合活性を調べることを予定している。
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Research Products
(2 results)