1985 Fiscal Year Annual Research Report
雌雄特異性チトクロームP-450のラット肝における発達・調節の分子機構
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59440027
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
加藤 隆一 慶応義塾大学, 医, 教授 (40112685)
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Keywords | チトクロムP-450 / 雌雄固有 / 薬物代謝酵素 / 成長ホルモン / 脳下垂体 / アミノ酸セクエンス |
Research Abstract |
雌雄ラットの肝ミクロゾームに存在し、薬物や体外異物代謝の性差発現に重要な役割を演じていると考えられるチトクロムP-450:P-450-maleおよびP-450の発現調節機構について検討した。 雄ラットでは脳下垂体を切除するとP-450male含量は低下するが、生長ホルモン(GH)の皮下注(1日,2回,7日間)により正常の雄レベルまでに回復する。 反対に、GHの持続注入(ミニポンプにて8日間)によりP-450maleレベルはさらに減少した。一方、P-450-femaleはGHの皮下注では発現しなかったが、GHの持続注入により出現した。 雌ラットでは脳下垂体切除によりP-450-maleが発現し、GHの皮下注により減少し、GHの持続注入により正常雄のレベルまで増加した。 一方、P-450-femaleは脳下垂体切除により消失し、GHの持続注入により正常雌レベルまでに回復した。 それゆえ、これらの結果から、GHの血中濃度パターンを雄型にすべく、皮下注すると、P-450-maleが発現し、P-450-femaleが抑制され、反対に、GHの血中濃度パターンを雌型にすべく、持続注入すると、P-450-maleの発現が抑制され、P-450-femaleが発現するものと考えられる結果が得られた。一方、プロラクチンは何等の作用をもおよぼさなかった。 P-450-maleおよびP-450-femaleのN-末端構造を明らかにしたところ、17番目までのアミノ酸セクエンスのうち、2箇所のみしか相異が認められず、きわめて近いことが明らかにされた。 アミノ酸セクエンスから合成した32種のDNAプローブを用い ラット肝より抽出,調成したpily【A^+】mRNAから、P-450-maleMRNAを取り出そうと試みたが、現在の段階では未だ成功していない。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] J.Pharmacol.EXP.Ther.233-1. (1985)
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[Publications] Biochem.Biophys.Res.Commun.130-3. (1985)
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[Publications] "Cyt.P-450,Biochem.,Biophys.&Induct" (1985)