1985 Fiscal Year Annual Research Report
粒子線医科学センターにおけるプロトンラジオグラフィーの基礎および臨床的研究
Project/Area Number |
59440049
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
秋貞 雅祥 筑波大学, 臨医, 教授 (90110494)
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Keywords | 陽子線ラジオグラフィー / 陽子線の多重散乱 / 陽子線ラジオグラフィー用グリッド / 陽子線断層撮影 / 磁気スペクトロメーター / 重心位置検出法 |
Research Abstract |
陽子線を画像採取手段として用いた場合の特徴はエックス線に比較して密度分解能が極めて優れている(20センチ厚さの被写体において0.2ミリ程度の厚みの変動を描写可能)点にある。しかしこの能力が発揮されるのは厚みの変動が撮影系の極く近傍に存在する場合であり、両者の間隔が大きくなればなる程、急激に描写能力は悪化する現象を呈する。この原因は陽子線の多重散乱による描写注目点およびその点をとり巻く周囲の重なりによるものである(ダリッドを利用したエックス線と異り鮮鋭度が注目点と撮像系との間の距離に品しく影響され劣化する)。この原因により20センチの距離では一点が約7ミリの標準偏差を有するガウス分布の広がり分布をもつものとなる。このような問題を解決する方向として散乱線を除去する課題がプロトン(陽子線)ラジオグラフィーおよびプロトン断層撮影(CT)の重点となっている。 プロトンラジオグラフィーでは陽子線撮影用グリッドとしてのコリメーターを作製し、この効果を検討中である。このブリッドは重さが15ミリであり孔の径は約100ミクロンである。このグリッドを用いて各種ファントムの撮影を開始した。平行板型グリッドに比して散乱線の除去率は高率と予想される。 陽子線CTでは被写体入射陽子線を多本のペンシルビーム代し、かつ射出線をもコリメートすることにより散乱線を減少させ、このビームをエネルギー弁別するため磁気スペクトロメータで測定している。焦点面におく位置検出器としてシンチレーターを用いた方式で、アクリルの支柱を水中に5本たてたファントーム(内径110ミリ)を作成し、この断層撮影を行った。この結果水中のアクリル(密度比約1.2直径14ミリの棒)を捉えることができた。今後、検出器の性能の改善をはかり画質の向上を重点としていく。
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