1985 Fiscal Year Annual Research Report
石灰化および非石灰化細胞の分化特性に関する細胞生化学的研究
Project/Area Number |
59440078
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Research Institution | Kanagawa Dental College |
Principal Investigator |
斉藤 滋 神奈川歯科大学, 歯, 教授 (80084713)
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Keywords | 歯周組織 / 骨芽細胞 / 線維芽細胞 / リンタンパク質 / アルカリフォスファターゼ |
Research Abstract |
歯周組織は常に、生理的咬合力を受け、特に歯根膜と歯槽骨とが相互作用をもって機能している。咬合力の変化によって、セメント質と歯槽骨と連結とする強靭な線維芽細胞からなる非石灰化性結合組織である歯根膜の石灰化あるいは歯槽骨の吸収がみられる。そこで、石灰化調節因子を【I】:非コラーゲンタンパク質および【II】:細胞化学的特徴について検索した。 【I】:非コラーゲンタンパク質の合成 ラット頭蓋冠から骨芽細胞、皮膚から線維芽細胞を用いてin vitroで【^(32)Pi】標識のリンタンパク質の合成をみた。すなわち骨芽細胞において、1.25【(OH)_2】【D_3】によって誘導された75K66K38K22Kおよび16Kがあり、その中で16Kは線維芽細胞においても合成された。従ってこれらのリンタンパク質が石灰化調節因子として作用する可能性を示唆した。 【II】:細胞化学的特徴 ウシ歯根膜よりcollagenase sequental digestionによって得られたfreshly isolated cells にアルカリフォスファターゼ活性(ALPase)がみられた。その特徴として、1)56℃10分間で胎盤由来のALPaseは非常に安定であるが、歯根膜はラットの骨芽細胞のALPaseと同様に完全に失活した。2)5mMのにphanylalanineglycylglycineに対して胎盤ALPase活性は10%に低下し、ウシ歯根膜およびラット骨芽細胞は約70%であった。3)5mMのL-Homoarginineに対してウシ歯根膜およびラット骨芽細胞のALPase活性は10〜20%に低下し、胎盤は約70%であった。4)5mMのL-Phenyl-alanineに対してウシ歯根膜および胎盤のALPase活性は約40%に低下したが、ラット骨芽細胞は約70%であった。すなわち、ウシ歯根膜のALPaseはラット骨芽細胞と酷似しているが、完全に同一でなく、非石灰化組織の歯根膜線維芽細胞としての特徴を示唆するものと思われる。
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