1986 Fiscal Year Annual Research Report
火山噴火におけるエネルギー配分比に関する基礎的研究
Project/Area Number |
59460038
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Research Institution | KYOTO UNIVERSITY |
Principal Investigator |
加茂 幸介 京大, 防災研究所, 教授 (70025328)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
井口 正人 京都大学, 防災研究所, 助手 (60144391)
石原 和弘 京都大学, 防災研究所, 助手 (30027297)
西 潔 京都大学, 防災研究所, 助手 (70027241)
江頭 庸夫 京都大学, 防災研究所, 助手 (00027236)
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Keywords | ブルカ / 式噴火 / ストレイン・ステップ / マグマ溜り / 火道 / 前兆現象 |
Research Abstract |
桜島南岳山頂火口の北西2.8km地点の観測坑道内に設置してある水管傾斜計および伸縮計によって観測された個々の噴火に対応した傾斜・歪変化、および爆発的噴火発生と同時に生じるストレイン・ステップを解析し、他の地球物理学的データと比較検討し、ブルカノ式噴火発生前の火山体内部のエネルギーの蓄積状態を明らかにした。 1.個々の噴火に対応した地盤の傾斜と歪の比から地盤の隆起・沈降を引き起こす力源の位置を見積ると、火口直下2〜6kmとなる。この深度は地震観測から想定される火道の下端からマグマ溜りの領域に相当する。また、力源の深さが増すほど地盤の変動量が増大する傾向があり、噴火後の沈降量は火山灰の放出量と関係がある。以上のことから、山頂部地盤の隆起は噴火エネルギーの蓄積過程であり、噴火開始後の沈降は噴火エネルギーの放出過程を反映していると考えることができる。 2.爆発的噴火発生と同時に伸縮計で観測されるストレイン・ステップの大きさは、前兆地盤変動の大きさや爆発地震の規模に依存せず、爆発空振波の強度と相関がある。火口方向の歪は伸び、火口方向と直交する成分の歪は縮みとなることから、ストレイン・ステップは極く浅い場所での急激な圧力減少によって引き起こされたとみてよい。爆発現象の解析研究成果と対比すると、ストレイン・ステップは爆発直前に火道上端部に形成されるガス溜り内の高圧状態の火山ガスが大気中に放出され、地盤の歪が開放されたことにより生起された現象であると解釈される。 噴火エネルギーの観点からみると、前兆地盤変動は火山体深部の噴火エネルギーの蓄積状態を、また、ストレイン・ステップは衝撃波、火山弾の放出等爆発の強度に関わる火道上部のエネルギーの蓄積量を最も直接的に反映していると考えられる。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] 加茂幸介 他: 京都大学防災研究所年報. 29B-1. 1-12 (1986)
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[Publications] K.Kamo et al: Bulletin of Volcanology. (1987)
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[Publications] K.Ishihara: Hawaii Symposium on How Volcanoes Work. olumeAbstract V. 118 (1987)
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[Publications] K.Kamo et al: Hawaii Symposium on How Volcanoes Work. Abstract Volume. 130 (1987)
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[Publications] 石原和弘: 日本火山学会講演予稿集. No.1. (1987)
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[Publications] 石原和弘: 日本火山学会講演予稿集. No.1. (1987)