1986 Fiscal Year Annual Research Report
塩基配列に依存するオリゴ核酸の構造,運動性および熱力学的性質
Project/Area Number |
59470134
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Research Institution | Tokyo College of Pharmacy |
Principal Investigator |
神藤 平三郎 東京薬大, 薬学部, 助教授 (80138966)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
月向 邦彦 名古屋大学, 農学部, 助教授 (10023467)
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Keywords | オリゴ核酸 / DNAの構造 / 分子運動 / NMR / 熱測定 / 重水素NMR |
Research Abstract |
1.デカデオキシ核酸の【^1H】NMR 両端に共通のGC塩基対をもち、中央に塩基配列の異なる6個の配列からなる12種のデカマを合成し、【^1H】NMRを測定した。2-DNOEの実験からスペクトルの金帰属を行ない、【^1H】化学シフトの塩基配列依存性を検討した結果、化学シフトは三連子モデル、すなわち最隣接塩基対によって説明できることを示した。ワトソン-クリックのBDNAモデルを仮定して環電流を計算し、実測した"融解シフト"と比較したが、それらの間の相関はあまりよくなかった。この結果は仮定したB-DNAモデルが不適切であったか、あるいは環電流理論が不完全であることによるものと考えられる。現在、両面からの検討を急いでいる。 2.オリゴ核酸のヘアピンループ形成 13-mer CGCGAATTACGCG (【I】)および17-mer CGCGCGAATTACGCGCG (【II】)の二重鎖構造からループ形成の機構に関して【^1H】NMRにより検討した。2本のメチル水素の挙動からこれら二つのオリゴマーは二重鎖とループ構造の間で遅い平衡によって説明できた。二重鎖形成のファトホックエンタルピーおよび活性化エネルギーなどの熱力学的変数および、これらに及ぼす塩濃度効果から、二重鎖-ループ変換の機構はクルーシ型の形成またはブランチ移動によるよりも、二重鎖の完全な分離と再形成によって説明できた。 3.配向DNA繊維の塩基ドメインの構造 プリン残基の8位を重水素で標識したDNAについて固体の【^2H】NMRを測定した。配向DNAから得られた四極子エコースペクトルの線形解析から、A型DNAのプリン面はラセン軸に関して約70°だけ傾斜していたが、B型のそれは分布はあるがほぼ垂直であった。緩和時間【T_1】【T_2】の解析より プリン面のゆらぎ、ラセン軸回りの回転運動が明らかにされた。
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[Publications] H.Shindo;S・Ohkubo;U.Matsumoto;G.Zon: Nucl.Acids Res.,Symposium Series No.17. 17. 211-214 (1986)
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[Publications] S.Roy;S.Weinstein;B.Borah;J.Nickol;E.Appella;H.Shindo;J.S.Cohen: Biochemistry. 25. 7417-7423 (1986)
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[Publications] H.Shindo;Y.Hiyama;S.Roy;J.S.Cohen;D.A.Torchia: Bull.Chem.Soc.Japan. 60. (1987)