1986 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
59480053
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
駒井 豊 阪府大, 農学部, 助教授 (80081496)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小沢 隆司 大阪府立大学, 農業部, 助手 (20152481)
永野 正 大阪府立大学, 農学部, 助手 (20081573)
寒川 喜三郎 大阪府立大学, 農学部, 助手 (00081571)
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Keywords | アカウキクサ / 共生窒素固定 / ラン藻 |
Research Abstract |
1.昨年度に採取したAzolla japonica(オオアカウキクサ)の殺菌法の改良を試みたが、エタノール洗淨を加え次亜塩素酸処理時間を短くすることで、糸状菌に汚染されない培養株を得ることに成功した。その増殖および窒素固定活性(アセチレン還元活性)に対する温度、照度などの外囲条件の影響を調査したが、Azolla imbricata(アカウキクサ)に比べて低温での成育が優った。常温での窒素固定活性は、両者に大差はなかった。 2.抗生物質処理によって得られたアカウキクサのラン藻非共生株を、培地に化合態窒素を加えて培養したものと、ラン藻共生株の無窒素培養のものの生育を比較したが、増殖速度はほゞ変らず、遊離アミノ酸組成にも大差はみられなかった。また前者では、培地窒素濃度を増大しても生育は大きくは低下しなかった。 3.アカウキクサに共生ているラン藻は、アカウキクサ葉の空胞中にあるalgal packets(ラン藻嚢)内で活動しているが、このpacketsを窒素固定活性を保ったまゝ破壊せずに分離できれば、共生ラン藻と宿主との間の物質授受の解明に大きな進展が期待できる。そこで、アカウキクサ葉組織の酵素による分解ととりだしたpacketsの精製の方法、操作について、種々の検討を行った。 4、窒素固定酵素に対する阻害が少なく分解時間が短くてすむ、セルラーゼなどを含む酵組液組成を定め、アルゴン気相中での光照射下で分解を行った。とりだしたpocketsの窒素固定活性を維持するめに、精製洗淨液中にエネルギー源となる物質の添加を種々試みたが、アカウキクサ葉磨碎液を加えることがもっとも効果的であった。精製中の光照射も有効であった。これら各種の比較試験による検討の結果確立した方法によって、窒素個定活性を有するpacketsの分離採取に成功した。
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