1986 Fiscal Year Annual Research Report
苗条原基法による一年生植物の遺伝子型及び染色体型の冷凍保存方法の開発
Project/Area Number |
59840019
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
田中 隆荘 広島大, 理学部, 教授 (00033796)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
谷口 研至 広島大学, 理学部, 講師 (10163627)
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Keywords | 凍結保存 / 苗条原基 / 植物組識培養 |
Research Abstract |
凍結保存法は、動物では血液・精子・卵の保存として実際に利用されている。植物に関しても多くの重要な遺伝子を狭い空間に多量に、しかも長期にわたって保存する方法として重要であるが、その保存技術に関しては遅れている。現在はクローンとしての保存に茎頂の凍結保存が利用されているが、摘出に困難を伴うこと、及び再生後の大量の苗条を得ることが困難である点など問題が多い。そこで1983年Tanaka・Ikedaによって開発された苗条原基法を適用することにより、凍結に供する試料の調整が容易で、しかも凍結解除後に苗条原基として増殖させ、一気に大量苗を作ることができる利点をもつ。本研究は苗条原基の凍結保存によって、各遺伝子型及び染色体型について、随時、必要に応じて取り出せる凍結苗条を確保して、遺伝的に安定した各種クローンの大量増殖法の確立を目指すものである。 ハプロパップスの苗条原基を用いて冷却速度プログラム,凍結防止剤(DMSO,L-プロリン,グルコース,グリセリン)、凍結前処理等の凍結条件について検討を行った。これらの条件を組み合せて、-5,-10,-20,-30,-40,-80,-198℃の各温度条件での苗条原基の生存と増殖を調べた。 その結果、以下の凍結保存条件が最適であることがわかった。継代培養中の苗条原基を5%DMSOを含むMS培地で2日間前培養を行った。次いでこれを0℃に保ち、30分かけてDMSOの濃度を徐々に10%に高め、そのまま30分間おいた。これをプログラムフリーザーを用いて-0.5℃1分の冷却速度で-40℃まで予備凍結し、直ちに液体窒素(-196℃)中に浸し、そのままの状態で保存を行った。随時とり出して急速融解を行い、苗条原基の再生を行った。現在、-196℃、10日間の凍結保存から再生苗条原基が得られている。
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[Publications] Tanaka,R.: Jpn.J.Genet.60. 405-410 (1985)
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[Publications] 谷口研至: "細胞・組識・胚の凍結保存" 酒井昭, (1987)