1986 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
59860016
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture and Technology |
Principal Investigator |
原口 隆英 農工大, 農学部, 教授 (60014891)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
福田 清春 東京農工大学, 農学部, 助手 (60015097)
森川 康 協和発酵工業(株), 研究開発部, 部員
諸星 紀幸 東京農工大学, 農学部, 助教授 (30015078)
角 裕一郎 山陽国策パルプ(株), 技術本部, 部長代理
高橋 健 東京農工大学, 名誉教授
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Keywords | 木材チップ / 生物的脱リグニン / 酵素的脱リグニン / ラッカーゼ型リグニン分解酵素 / 直接発酵菌 / エタノール |
Research Abstract |
1.木材チップの脱リグニン条件について:この基礎となるリグニンの酵素的分解について、種々のモデル物質を用いて反応機構の解明を行った。その一例を示すと次のようである。シリンギルグリセロール-β-シリンギルエーテルに対して、ラッカーゼ【III】を作用させると、ベンゼン核と側鎖α位との間で切断が起こり、さらに反応が進んで、β-0-4エーテル結合が切れることがわかった。他のモデル物質では側鎖のα-β間結合が切れる例もみとめられた。これらのことから、この酵素は、リグニンの化学構造に対して幅の広い分解活性を有することがわかる。それは、ラッカーゼ【III】が、フェノール性水酸基の脱水素によるラジカルの生成とその移動によってひき起こされるからであろう。このように幅広い分解活性が認められたことは、木材質資源を原料とする直接発酵の前処理としては、甚だ都合のよいことである。ただし、通常の培養法では、この酵素の分泌量が少ないので、実用化するには、遺伝子工学的手法の適用が必要と思われる。 2.直接発酵条件の検討とスケールアップについて:既存の直接発酵菌は、木質原料ではたとえ脱リグニンをかなりやった場合でも、エタノール生産に不適であったので、新たに木質原料に適する発酵菌を自然界から探索し、温度、pH、添加物等の諸条件を調べた。まだ十分なエタノール生産量を示す菌は得られていないが、これまでに分離された嫌気性菌の中、比較的よいものにつき、やや規模を大にした実験を行った。これまでのところ、発酵のきわめて初期にエタノールを生産し、その後の生産量は緩漫であった。本件についてはなお実験を続行している。 3.直接発酵システムの設計:前処理-生物的脱リグニン-直接発酵の3I程から成るシステム試案を作成した。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] 諸星紀幸: 木材学会誌. 33. (1987)
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[Publications] 諸星紀幸: 木材学会誌. 33. (1987)
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[Publications] 諸星紀幸: 木材学会誌. 33. (1987)
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[Publications] 割石博之: 木材学会誌. 33. (1987)