1985 Fiscal Year Annual Research Report
西日本地域に適した畑地潅がい用水量の合理的決定法に関する研究
Project/Area Number |
59860024
|
Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
佐藤 晃一 愛媛大学, 農, 教授 (70033149)
|
Keywords | 畑地かんがい / 消費水量 / 熱収支 / 蒸発散比 / ライシメータ |
Research Abstract |
本年度は各大学において、栽培作物を大豆に統一し、熱収支法による実蒸発散量の測定を行うとともに、計器蒸発量、土壌水分、大豆の葉面積指数や草丈などの測定もあわせて実施した。 まず熱収支観測に必要な気象データ測定装置、特に通風乾湿計の自作による低価格化、及び計測システムの合理化について検討を行った。その結果、自作の通風乾湿計を用いても適度の通風速度(3m/s)が確保されれば比較的安価な観測が可能であることを明らかにした。また、データロガー・ハンドヘルド型パソコン・上位パソコン等を用いた計測システムを開発し、圃場での気象観測データの処理が比較的安価に能率よく行なえる方法を確立した。 圃場レベルでの実蒸発散量(Et)については可能蒸発散量や土壌水分、および葉面積指数との関係が検討された。まず、可能蒸発散量の代表値としての計器蒸発量(Epan)とペンマン法による推定値(Epenman)を比較すると、Epanは周囲の気象条件と大きな補完関係を有し、Epenmanの方が可能蒸発散量の代表値として合理的であることが示唆された。そこでこのEpenmanとEtとの関係について検討したところ、大豆の成熟期ではほぼ1:1の関係が認められることが明らかとなった。しかしながら、生育初期においては両者の関係は大きくばらつくことが指摘された。 土壌水分とEtの関係では、生育初期において土壌水分の影響が著しく、生育後は土壌水分がpF2.7〜2.8程度に減少するとその影響が認められることなどが明らかとなった。 この他、実蒸発散量Etを葉温から推定する方法や、日射量、純放射量など比較的測定容易な気象データから推定する方法、あるいは葉面積指数の関数として表わす方法などが検討され、十分実用に供するであろうことがわかった。
|