1985 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
59870002
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Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
田中 敬一 鳥取大学, 医, 教授 (00031948)
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Keywords | イオンビーム / 蒸着 / 高分解能走査電子顕微鏡 |
Research Abstract |
1. 装置の改良 前年度試作したイオンビーム・スパッタ蒸着装置に新たにシャッターを取付けた。これにより作動開始時の不安定なビームによる蒸着の防止が可能となった。またイオン銃の性能の向上を画り設計上若干の考慮を加えたが、実験的には期待通りの性能向上はみられなかったため、従前のイオン銃を使用することとした。 2. 生物試料への応用 オスミウム・DMSO・オスミウム法などによって作製した生物試料に白金を蒸着し、細胞内構造について超高分解能走査電顕(日立UHS-T1、分解能5Å)にて観察を行なった。その結果リボゾーム、ゴルジ装置などが非常に良い像質にて撮影可能であった。また膜厚4Å以下の蒸着では蒸着粒子そのものは解像されず、二次電子収量が増加しコントラストの良い像質が得られる事が判明した。膜厚7Å以上の蒸着では15〜20Åのサイズの蒸着粒子が明瞭に観察され、このサイズは膜厚には関係せず一定であった。これは前年度の透過電顕による観察結果に一致した。 3. 白金以外の蒸着と今後の方針 白金単体の蒸着粒子(15〜20Å)は、超高分解能走査電顕では解像されてしまうので今後もっと小さな粒子の蒸着による走査電顕観察を行なう必要がある。現在タングステン、タンタルの2種について、単体もしくは白金との同時蒸着の基礎的実験および蒸着を行ない、白金単体の粒子サイズよりも細かい粒子を得ている。今後、生物試料への応用性の検討が必要である。 (附) 尚、本研究の成果は第14回日本電子顕微鏡学会学術講演会(60年6月、札幌市)、第14回医生物走査電顕シンポジウム(60年11月、倉敷市)において逐次、発表報告された。
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