1986 Fiscal Year Annual Research Report
フエニルアラニン分解酵素によるフエニルケトン尿症の新治療法の開発
Project/Area Number |
59870035
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Research Institution | TOHOKU UNIVERSITY |
Principal Investigator |
多田 啓也 東北大, 医学部, 教授 (20046907)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
五十嵐 裕 東北大学, 医学部, 講師 (70101144)
外村 幹雄 鐘紡株式会社, 薬品研究所, 室長
高井 克治 東京大学, 医学部, 教授 (10010000)
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Keywords | フェニルアラニン・アンモニア・リアーゼ / フェニルケトン尿症 / エンピナーゼ / アラニル・フェニルアラニン / ペプチドの吸収 |
Research Abstract |
フェニルケトン尿症の治療法としてフェニルアラニン,アンモニア,リアーゼ(PAL)の経口投与の有効性を検討するために、本年度は以下の実験を行った。PALはフェニルアラニンに対しては極めて効率よくシンナメートへの変換によりフェニルアラニンの濃度を減少せしめるが、フェニルアラニンを含むペプタイドへの効果は前年度までの研究により、あまり有効でないように思われる。そこで、PALと同時にペプチダーゼのエンピナーゼを加え、管腔内でフリーのフェニルアラニンを産生させ、これにPALを作用させることにより、有効性を出せるかについて検討した。 まず試験管内で、15mMの濃度のアラニール・フェニルアラニン(Ala-Phe)と、250,500,750,1000,及び2000U/mlのエンピナーゼを反応させ、フリーのアラニン及びフェニルアラニンの出現の掲示的変化を見た。この結果2000Uでは60分でほぼ完全に氷解され、1000Uでも約、80%が氷解された。750Uでは約60%、500Uで約40%、250Uでは約20%であった。これに対して、Ala-Phe 15mMの濃度にエンピナーゼ1000U/ml、PAL7.5U/mlを加えた場合には約30%しか分解されなかった。さらに、モルモット小腸を用いTreiz靭帯直後からAla-Phe 15mM、エンピナーゼ2000U/20ml及びPAL150U/20mlを注入し、血中のフェニルアラニン及びシンナメートの変動を測定した結果、門脈血でも上大静脈血でも明らかなフェニルアラニンの上昇が認められた。しかし、シンナメートの上昇はほとんど認められなかった。これらのことより、PALを同時に加えることによりPALがエンピナーゼの基質となり、その効果を減弱させるのみでなく、PALの効果も失われるようである。PALの投与効果は認められなかった。
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