1985 Fiscal Year Annual Research Report
合成低フェニルアラニンペプチドによるフェニルケトン尿症の治療の開発的研究
Project/Area Number |
59870037
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
北川 照男 日本大学, 医, 教授 (50058765)
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Keywords | フェニルケトン尿症 / 低フェニルアラニンミルク / 低フェニルアラニンペプチド / 血清フェニルアラニン |
Research Abstract |
荒井班員の指導の下で橋田班員は、工業的規模の低フェニルアラニンペプチド(LPP)製造法の改良について研究を進め、原料と製造設備の検討により重金属と砒素の含有量を殆んど無くすることに成功し、また乳清蛋白を酵素分解する時のpHを検討することにより、食塩含有量を著しく低下させることに成功した。片山班員はこの20KgのLPPのうちの11.2Kgを原料として蛋白質含量13.6%、脂肪17.5%、糖質62.7%、灰分2.5%、水分3.7%、フェニルアラニン(phe)含量が72mg/100gの低フェニルアラニンミルク74.4Kgを調製した。この粉乳の組成はFAO/WHOの母乳代替品のためのCODEXに照らしてみて、すべての項目で満足していた。低phe粉乳のアミノ酸組成はpheが低いほかにも育児用粉乳のそれと比較して異るパターンを示していたが、育児用粉乳に対して足りないアミノ酸はなく、風味の点からも栄養学的にも満足できる低pheミルクが調製された。この低pheミルクを生後3週から生後1年2か月までのpkuの乳幼児3例と妊娠の可能性の高いpkuの24才の女性1例に3か月間与えてその効果と副作用について検討した。乳幼児pku3例には60-30mg/Kg/dayのpheを、また24才の女性のpkuには20-10mg/kg/dayのpheを夫々PLLを原料とした低pheミルクで投与したところ、2〜6mg/dlの範囲に血清phe値を維持することができた。そして、乳幼児の3例はこの低pheミルクを好んで摂取し、体重と身長の増加も順調で正常に発育し24才の女性も市販の育児用ミルクを混ぜて与えることにより容易に摂取した。これらの症例では前に述べたようにphe値が正常より高値を示した以外は血清アミノ酸値はすべて正常範囲で血液pH、血清電解質、肝機能、腎機能などすべての臨床検査所見に異常はみられなかった。以上の研究成績からLPPを原料とした低pheミルクの試作品は、これまでのアミノ酸末を原料とする低pheミルクよりも栄養学的にも味の点でも優れた治療用ミルクであり副作用は認められなかった。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] 小児内科. 17-1. (1985)
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[Publications] 臨床検査MooK. 増刊2号. (1985)
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[Publications] 小児科臨床. 38-4. (1985)
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[Publications] 特殊ミルク情報. No10. (1985)
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[Publications] 新内科学大系. 年刊版 '85-B. (1985)