1985 Fiscal Year Annual Research Report
医薬品の可溶化剤及び安定化剤としてのヒト血清アルブミンの利用に関する製剤学的研究
Project/Area Number |
59870075
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Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
池田 憲 名古屋市立大学, 薬, 教授 (50080164)
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Keywords | ヒト血清アルブミン / ONO-2235 / 光安定化 / 溶解補助 / たんぱく結合 |
Research Abstract |
本年度中における研究において得られた結果は次のごとくである。 1.(E)-3-Carboxymethyl-5-[(E)-2-methyl-cinnamylidene]rhodanine(ONO-2235)は光に不安定で、紫外線照射により擬一次反応的に分解する。 pH7.4のリン酸緩衝溶液中25℃において、ONO-2235単独での分解の半減期は約5分であり、ヒト血清アルブミン(HSA,1.3×【10^(-4)】M)の共存により半減期は約12時間に延長され安定化した。 さらにclofibric acidとの共存による競合現象から、本薬物が光に対して安定化される結合部位の一つはHSAのtyrosine-411近傍(R-site)であることがわかった。 2.ONO-2235の蒸留水中、25℃での飽和溶解度は6.7×【10^(-5)】Mであり、6×【10^(-4)】MのHSA(血中濃度に相当)の共存により約60倍の溶解度の上昇が観測された。 3.ONO-2235のHSAへの結合性を平衡透析法によって検討したところ、Scatchandの解析法からその結合パラメーターとして、【n_1】=2.1,【K_1】=1,1×【10^6】【M^(-1)】,【n_2】=8,および【K_2】=5,4×【10^4】【M^(-1)】 が得られた。 上記1,および2,の光安定化能および可溶化能は、HSAの強力な薬物結合能に起因することがわかった。 4.塩酸メクロフェノキサートがアルカリ性においてHSA存在下その加水分解が抑制されるのは、水酸イオンの攻撃をほとんど受けないHSA分子内に保持されるためと考えられる。 その際HSAのN-Btransitionによるコンホメーション変化は関与しないことが判った。 上記研究結果に基づいて次年度の計画を策定中である。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] Chemical & Pharmaceutical Bulletin. 33-9. (1985)
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[Publications] Chemical & Pharmaceutical Bulletin. 33-11. (1985)
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[Publications] 薬学雑誌. 106-5. (1986)