1985 Fiscal Year Annual Research Report
抗腫瘍活性を持つ新しいタイプのリン脂質・糖脂質誘導体の開発に関する研究
Project/Area Number |
59870076
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
工藤 一郎 東京大学, 薬, 助教授 (30134612)
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Keywords | リゾリン脂質 / 糖脂質 / 抗腫瘍活性 / マクロファージ |
Research Abstract |
(1)合成リン脂質誘導体による制癌活性:マウス実験癌S-180、MM46細胞へのin vivo制癌活性のスクリーニングを続けた。その結果、新たに数種の制癌性リン脂質を見い出した。その一つである1-オクタデシル-2-アセトアセチルグリセロ-3-ホスホコリンは、S180細胞を皮下移植したICRマウスに静脈投与した場合(移植後8日目に治療開始)に固型腫瘍退縮効果を示した。このリピドは、数μg/mlの濃度で培養ヒト癌細胞の増殖を阻止する。また、マウス腹腔に投与するとin vitroで癌細胞障害活性を呈する細胞を誘導する効果が見られた。しかしながら、in vivoで抗腫瘍活性を示さない関連化合物についても同様の細胞毒性や癌細胞障害性細胞の誘導が見られるものがあった。このことから、固型癌退縮作用の機序について別の説明(例えばPAF活性)を考える必要が考えられた。 (2)PAFによるマクロファージ活性化:活性化の機序を明らかにする実験を続け以下の点を明らかにした。【◯!1】PAFはマクロファージの活性酸素産生量を容量依存的かつ経時的に増大させる。【◯!2】本反応はマクロファージの持つPAF特異的認識部位への結合を介している。【◯!3】活性化反応は、リポキシゲナーゼ阻害剤(NDGA)及び受容体依存的エンドサイトーシス阻害剤(MDC)で阻害される。現在、PAFによるマクロファージ活性化が担癌生体内で確かに起こるかどうか明らかにすることを目的に検討している。 (3)合成グリセロ糖脂質リポソームによるマクロファージ活性化反応:宿主介在性制癌作用を見い出したセロビオシルジアルキルグリセロールは、マクロファージでのみならずT細胞に働きマクロファージを活性化する因子を放出させる効果があることを見い出した。また、本糖脂質の活性発現とリポソーム±での糖鎖の微細構造の関連をESRを用い検討した。
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Research Products
(2 results)