1985 Fiscal Year Annual Research Report
代謝化学的分子修飾によるモルヒネ系非麻薬性鎮痛薬の開発
Project/Area Number |
59870084
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
広部 雅昭 東京大学, 薬, 教授 (20012594)
|
Keywords | 非麻薬性鎮痛薬 / エポキシド / 含フッ素コデイン-7、8-オキサイド |
Research Abstract |
59年度までの研究成果から、既に我々は新規モルヒネ誘導体であるモルヒネ-7、8-オキサイドが母化合物と比較して鎮痛作用を維持しつつ耐性依存性の有意な減弱をもたらす事を明らかにし、また実際にin vivoより本化合物を検出した事により活性代謝物としても存在している事を確認している。本研究は我々によって発見された合目的性の高いモルヒネ-7、8-オキサイド及びその類縁体の実用化にむけ、更にきめの細かい構造活性相関の確立の上に立って合成・薬効・毒性の評価を行なう事を目的とする。 本年度はモルヒネ-7、8-オキサイドが有する低毒性(耐性依存性)を維持しつつ更に良好な鎮痛活性を期待できる含フッ素エポキシド体の合成について検討した。 1. 6-フルオロコデイン-7、8-オキサイドの合成 既に我々によって合成が成功しているコデイン-7、8-オキサイドを原料として、種々のフッ素化を試みた結果、ジエチルアミノサルファートリフルオライド(DAST)との反応において目的物である6-フルオロ体の生成が認められた。しかしながら本化合物は薬効評価に供する程度の安定性が得られなかったので、医薬品開発の見地から不適当であると判断した。 2. 14β-フルオロコデイン-7、8-オキサイドの合成 既知化合物、14β-ハイドロキシコデイノンとDASTとの反応において高収率で14β-フルオロコデイノンが合成出来た。本化合物は前述の化合物とは異なり安定性に問題はなかった。次の反応であるエポキシ化は別途フッ素を含まない化合物で収率よく進行する事が確認されているので、含フッ素エポキシ体合成の見通しは現段階でついたと考えている。
|