1985 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
59870085
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
大塚 正徳 東京医科歯科大学, 医, 教授 (60013801)
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Keywords | 非麻薬性鎭痛薬 / 摘出脊髄-尾標本 / 侵害反射 / モルフィン / メチオニン / エンケファリン / ダイノルフィン / ナロキソン / カプサイシン |
Research Abstract |
非麻薬性鎭痛薬の探索に新生ラットの摘出脊髄-尾標本を用い、種々の薬物の作用を検討した。昨年度は尾に機械的刺激を加えることによって誘発される侵害反射電位がモルフィンおよびエンケファリンにより抑制されることを報告した。しかしこの電位はP物質拮抗物質〔D-【Arg^1】,D-【Pro^2】,D-【Trp^(7,9)】,【Leu^(11)】〕SPにより殆ど影響されなかった。そこでP物質によるシナプス伝達の要素をより多く含んでいることが期待される侵害反射電位を見い出すため以下の試みを行なった。 1-4日令ラットから脊髄と尾を連続した状態でとり出し、それぞれ別々の潅流槽に固定し、人工脳脊髄液で潅流した。運動ニューロンに発生する電位変化は前根(L3-L5)から吸引電極を介して細胞外記録した。侵害反射の誘発にはC線維を刺激することが知られているカプサイシンを尾の潅流液中に注入した。カプサイシンを少量(0.5-2μM,100-200μl)を注入すると15な30秒間持続する脱分極性の反射電位が記録された。このカプサイシン誘発反射電位はモルフィン(2μM),メチオニン・エンケファリン(2μM),ダイノルフィン(0.2μM)により抑制され、この抑制はナロキソン(1μM)により消失した。またこの電位はプロスタグランディン【E_1】および【E_2】の尾側潅流により著しく増強され、この点はin vivoでみられる痛み反応の性質と類似していた。 P物質拮抗物質〔D-【Arg^1】,D-【Pro^2】,D-【Trp^(7,9)】,【Leu^(11)】〕SPは10μMでカプサイシン誘発反射電位を抑制し、この抑制は薬物洗條後1時間で回復した。これらの結果は化学的に誘発される侵害反射の発生にP物質が関与していることを示唆している。最近フォルカースにより合成された〔D-【Arg^1】,D-3【pal^5】,D-【Trp^(7,9)】,【Nle^(11)】〕SPはSPの運動ニューロン脱分極作用を抑制し、かつアゴニスト作用のない点で優れていることが分った。今後、化学的に誘発される侵害反射電位に対する作用を調べ、非麻薬性鎭痛薬の候補となりうるかどうかを検討する。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] Br.J.Pharmac.84-663. (1985)
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[Publications] Japan J.Pharmacol.39Suppl-73. (1985)
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[Publications] Neurosci.Res.1Suppl-101. (1985)
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[Publications] J.Physiol.361-115. (1985)
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[Publications] Neurosci.Lett.62-63. (1985)