1985 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
59890009
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
筏 義人 京都大学, 国立大(その他), 教授 (00025909)
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Keywords | 癒着防止材 / 生体吸収性高分子 / ポリ乳酸 / ラクチド-カプロラクトン共重合体 / in vitro加水分解 / in vivo組織反応 |
Research Abstract |
生体吸収性脂肪族ポリエステルであるポリ-DL-乳酸は非晶性高分子であるが、ガラス転移温度(Tg)が57°Cであり体温では剛性が高すぎるため、厚みのうすい膜でさえも軟組織の損傷の可能性がある。そこで、Tgが体温以下のエラストマー的性質をもつ生体吸収性高分子を得るため、乳酸とカプロラクトンとの共重合体を合成した。 乳酸、およびカプロラクトン単独重合体合成法により、種々の組成をもつ共重合体が合成できた。また、共重合体中のカプロラクトン組成が増大するにつれてTgが大きく低下し、優れたエラストマーが得られることを明らかにした。種々の組成比をもつDL-ラクチド-カプロラクトン(DL-LA-CL)共重合体およびL-ラクチド-カプロラクトン(L-LA-CL)共重合体のin vitro加水分解に伴う物性と構造の変化、in vivo分解に伴う組織反応性を検討した。 DL-LA-CL共重合体の場合、ポリカプロラクトンとポリ-DL-ラクチドより分解が速く、10週で約50%の重量減少が認められた。 L-LA-CL共重合体の場合、L-LA74%組成の試料は約10週から重量減少が始まり約30週で完全に分解された。また、L-LA57%の試料は約5週から重量減少が始まり、約20週で完全に分解された。 in vivoテストは家兎を用いて行った。in vivoの分解に伴う物性の変化は、in vitro加水分解の結果とよく対応していた。また、組織反応性は分子量の低いポリ乳酸よりは少なかった。 LA-CL共重合体膜の癒着防止材としての評価を行うため、雑種成犬の心膜および壁側胸膜を剥離し、同部に約4×8cmの試料の4隅を縫合することによって固定した。その結果、埋入6ヶ月後には、材料がほとんど吸収されていたが、胸腔内で癒着を起こさず良好な結果が得られた。
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Research Products
(2 results)