1985 Fiscal Year Annual Research Report
核磁気共鳴断層装置(NMR-CT)による癌の定性的診断の基礎研究
Project/Area Number |
60010008
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
松沢 大樹 東北大学, 抗酸研, 教授 (10006108)
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Keywords | プロトン密度 / 【T_1】緩和時間 / 【T_2】緩和時間 / 【^(31)P】スペクトル / 弗素化合物 |
Research Abstract |
NMR-CTによる癌の画像診断上の情報は水素の原子核(プロトン)の密度(ρ)、縦緩和時間(【T_1】)、横緩和時間(【T_2】)の3種がある。 NMR-CTの画像ではX線CTと異なり、骨による偽像がなく、速く流れている血流は画像情報として得られない。停滞している水分に対する感度が勝れているなどのいくつかの画像上の特徴ある諸条件と解像力技術の上昇が加わり、癌診断に関する今年度の研究は以下に述べるようにいくつかの成果が得られた。 1.生体内における癌の組織学が行われる途がひらかれた。画像のS/N比の改善が上記の諸条件に加えてすすんだ為である。 2.ρ.【T_1】,【T_2】の3種の要素により画像が得られるので、これらの画像を計算的に処理することにより、癌を画像として浮びあがらせる研究が進展した。 3.造影剤(ガドリニウム-DTPA)によって腫瘍血管を描画し、癌を浮びあがらせるための研究が基礎的・臨床的に進んだ。 4.プロトン画像に【^(31)P】のATPのエネルギー代謝を併用することにより、癌と正常組織を区別し、癌の質的診断に迫る研究が進展した。 5.スペクトルの上でプロトンに近く感度のよい弗素(F)を画像化し、F標識の化合物(例えば【^(18)F】-deoxyglucose)を用いて癌の代謝の画像を得るための研究が試みられた。 今後、血液の拡散、温度、ケミカルシフト等による癌の画像診断についての研究をすすめる必要がある。 又、現在の装置では撮像時間が長いことが大きな泣きどころでありこの改善は今後のこの装置の普及にも関わる重要事項である。
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[Publications] Oncologia. 8. (1984)
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[Publications] 代謝. 22. (1985)
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[Publications] 日本医学放射線学会雑誌. 45. (1985)
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[Publications] 臨床画像. 12. (1985)
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[Publications] "画像診断の最近の進歩" 医学教育出版社, (1985)